Bloomberg

（ブルームバーグ）： 29日の日本市場で株式相場は朝方の下げをほぼ取り戻して終えた。人工知能（ＡＩ）向け半導体メーカー大手の米エヌビディアの決算が投資家の高い期待に届かず、日本でも半導体関連株に売りが先行したものの、注目イベントを通過した安心感から徐々に買いが広がった。

エヌビディアが日本時間29日早朝に発表した８－10月（第３四半期）の売上高見通しが一部の市場予想を下回り、同社株は米国市場の時間外取引で一時８％余り急落した。ただ、第２四半期の実績がアナリスト予想を上回ったこともあり、日本の関連株は次第に下げ幅を縮小した。保険や海運株などが買われたことも相場の支えになった。

エヌビディア株急落、売上高見通しは期待に届かず－新チップに問題

野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、投資家がエヌビディア決算に心底がっかりしているのであれば、株価指数先物や為替相場にも大きな影響があったはずだと指摘。時間外取引でのエヌビディア株安は「一般的な決算プレイからは逸脱していない」との見方を示した。

円相場は主に１ドル＝144円台半ばで明確な方向感なく推移。債券は財務省が実施した２年債入札が強い結果となり、中期ゾーン中心に買いが優勢だった。

株式

東京株式市場で株価指数はほぼ横ばいで終えた。エヌビディアの決算で売上高見通しが一部の市場期待に届かず、国内市場でもレーザーテックやディスコ、東京エレクトロンなど半導体関連株に売りが出た。一方、保険や海運、医薬品、電気・ガスなどが堅調で、下値を買う動きが相場を支えた。

ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは「市場全体はリスクオフにはなっていない」と指摘。エヌビディアの決算は市場の期待値が高過ぎた反動が出ているだけで、株式市場全体へのインプリケーションは限定的だと述べた。

アセットマネジメントＯｎｅの荻原健チーフストラテジストは、為替が従来よりも円高傾向となる中、株式市場では半導体への一極集中から中小型の内需銘柄への資金シフトが意識されるような動きになってきたと話した。