【台湾】鴻海、新AIサーバーを公開 技術発表会開催、EV新モデルも
台湾のEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、鴻海精密工業は8日、開発技術の説明会「鴻海科技日(鴻海テックデー)」を台北市で開いた。劉揚偉董事長は米半導体大手エヌビディアのスーパーチップ「GB200」を搭載した人工知能(AI)サーバーについて、鴻海が量産、出荷する初の企業になると述べ、会場で公開した。この日は電気自動車(EV)の「モデルD」と中型EVバス「モデルU」も公開し、来場者の注目を集めた。 鴻海によると、会場には台湾内外から約2,000人が来場。EV「モデルC」の改造車に乗って舞台に現れた劉氏はあいさつで「AIは既に生活の一部となっており、われわれの製造能力もAIによって再定義されている」と述べ、鴻海の製造能力がGB200搭載サーバーのインフラに必要な先進の液冷および散熱技術をサポートしていると紹介した。 その上で、鴻海が高雄市に設けるスーパーコンピューティングセンターでGB200を搭載したAIサーバーを使用するとの考えも示した。同センターは2026年第4四半期(10~12月)にも運用を開始する見通し。 劉氏によると、鴻海は世界のサーバー市場で40%のシェアを握っているという。劉氏は今年5月に開いた株主総会で、AIサーバー事業の売上高が将来的に1兆台湾元(約4兆5,900億円)を上回るとの見方を示している。 中央通信社によると、鴻海傘下でクラウドコンピューティングやサーバー関連事業を手がける鴻佰科技(イングラシス・テクノロジー)の丁肇邦総経理は鴻海科技日で、GB200サーバーの世界最大の生産拠点の構築を進めていると明らかにした。 鴻海科技日で行ったエヌビディア幹部との対談で明らかにした。同幹部は鴻海がメキシコ工場でGB200サーバーの生産を進めていると説明した。 ■モデルCの北米モデルも 鴻海はモデルDとモデルUを公開した。 このうちモデルDは7人乗りで、鴻海によると、スポーツタイプ多目的車(SUV)と多目的車(MPV)の優位性を組み合わせたという。これまでのモデルと同様、デザインは自動車の設計などを手がけるイタリアのピニンファリーナと共同開発した。 モデルUは中型のEVバスで、先に発表したEVバス「モデルT」のデザインを受け継ぎ、シンプルな外観で窓を大きくしている。先進運転支援システム(ADAS)を採用し、安全性や快適性にも配慮した。車内のレイアウトを柔軟に変えることができるのが特徴で、VIPエリアやミニバーなどを備えたカスタマイズも可能だという。 この日は、SUVのモデルCの北米向けモデルも公開した。北米市場のニーズに対応したデザインにしたといい、25年末の量産を予定している。コンセプトカーの「モデルA」も公開した。 鴻海は21年以降、科技日で毎年EVを公開している。21年はモデルCとセダンの「モデルE」、モデルTを、22年はクロスオーバー「モデルB」とピックアップトラック「モデルV」、23年は物流向けの「モデルN」をそれぞれ発表していた。 ■今年は初の2日間開催 鴻海科技日は20年に始まり、今回が5回目。今年は初めて10月8日と9日の2日間開催する。会場の広さは従来の2倍に拡大し、「スマート製造」「スマートEV」「スマートシティー」「鴻海スーパーコンピューティングセンター」「半導体」「前瞻技術(前瞻=展望の意)」の六つのエリアに分けて、鴻海のグループや協力企業が開発した製品や技術を展示している。2日目の9日は一般公開日となっている。