河合優実と坂東龍汰の“鳥肌が立った”4冊とは
──持ってきていただいた井崎竜太朗さんの写真集、とても素敵ですね。鳥肌ポイントはどのようなものでしょうか。 坂東:この本もですが、井崎さんに写真を撮ってもらった経験自体が「鳥肌もの」だったんです。 河合:それはどんな? 坂東:「私が撮りたかった俳優展」という企画があり、単なるポートレート撮影ではなく一緒にアートを作り上げていくような体験をしました。そんな経験は初めてで、撮影中はすごく感情が揺さぶられたんです。そして、ロケの思い出。雨が降っていたんですが、突然、僕に向かい合う井崎さんの後ろから巨大な太陽が出てきました。雨がぱっと止んで、一瞬で空が真っピンクになり、みんなでしばしその光景を眺めて…。この写真集を見るたびに、その衝撃的な出来事を思い出します。 河合:すごい経験…! 坂東:井崎さんは、一枚絵としての価値を持つ作品を残したいという方。この写真集も、一ページに一枚の写真が載せられ、物語のように内容が次の一枚へと繋がっていくようにできているんです。たとえば冷たい石でできた像の背中を写したページの次は、あたたかみを感じる人間の後ろ姿の写真というように、相反する意味を持つ写真が前後で対になっていることも。もちろん見る人によって意味は変わるんですが、写真同士の繋がり自体にもメッセージが込められているように思えます。 河合:それで、表紙はトカゲの写真と女性の写真を重ねたデザインなんだね。 坂東:そうだね。 ──坂東さんが2冊目に選んだのは、シンガーソングライターの折坂悠太さんの歌詞集です。 河合:これ、私も持ってる! 坂東:本当に?!折坂さん、良いよね。僕は、 4、5年前に「全感覚祭」というフェスで折坂さんのライブを見たんです。そのとき初めて折坂さんの曲に触れたのですが、もう、圧倒的で。親友の山岸健太というミュージシャンと二人で、朝4時半頃の野外会場で号泣しながら音楽を浴びました。この本は、折坂さんの大きな魅力である歌詞をまとめたもので、ぜひ優実ちゃんにも…と思って持ってきたら、まさかもう持っているとは!! 河合:折坂さんの歌声や曲も好きなんですが、特に詞が素晴らしいと思っていて。去年この本が出たのを知り、歌詞を手に取って見たくて買いました。 坂東:いえーい! ──お二人で折坂さんの話はしたことがなかったんですか。 坂東:前にカラオケで「朝顔」を歌ったよね。 河合:坂東くん、すごく歌が上手なんですよ。 坂東:いやいやいや!優実ちゃんの方が! ──お気に入りの曲は? 坂東:僕は、「角部屋」です。 河合:(本を見ながら)あれ、好きな歌のところのページを折って印をつけている? 坂東:そうそう。優実ちゃんが一曲選ぶなら? 河合:「坂道」かな。折坂さんの歌詞って、どんなに抽象的な言い方でも、すごく胸に伝わってくるんです。折坂さんの中にしかないオリジナルな言葉のはずなのに、言わんとしていることが、とてもわかる。 坂東:本当に、余白が多くて説明的じゃない歌詞が、色々なことを考えさせてくれる。ふとしたときに思ったことや感情が、折坂さんの歌詞に繋がったりします。それで歌を聴くと、フォークの心地よさが重なり、リラックスできるんです。 河合:実は私、まだ読了はできていなくて…。 坂東:あらっ。エッセイもとっても素敵だから、ぜひ読み進めてみて。 河合:読みます!