河合優実と坂東龍汰の“鳥肌が立った”4冊とは
“ブックマッチ” 鳥肌が立った本
──ドラマ公式サイトのコメントで、お二人とも「鳥肌が立った」という表現を使っていたのが印象的でした。そこで今回は、そんな感覚を呼び起こす2冊をそれぞれに選書していただきました。 河合:選書テーマにかこつけて、シンプルに大好きな本を選んできてしまいました。雷が落ちたように感動した2冊です。まず『夏物語』は、何作か読んでいる川上未映子さんの小説。ここに書かれている言葉の何かが自分を支えてくれると感じる、大事な作品です。女性としてだけでなく人としても壁に当たった時に再読したくなります。川上さんの小説には、ある方向から知っていた人が予想外のスタンスをこちらに明かしてくる、という展開がよくあります。そういう語り手としての裏切りに鳥肌は立つんですが、その後「人間ってそうだよな」と納得してしまう。人間のさまざまな姿が糸となって、一つの物語の中に織り込まれているところに、世界の在り方を感じるんです。 ──『RoOT / ルート』も、『オッドタクシー』の世界を全く別の視点から描いています。公式コメントで「鳥肌が立つように2つの世界がリンクする瞬間があった」とおっしゃっていましたが、少し似た感覚でしょうか。 河合:そうですね。物事には色々な面があり、見る角度を変えることで違うものが見えるというのは、ドラマや本という作品でも人間でも同じだと思います。 ──もう一冊は、脚本家でもある坂元裕二さんの著作です。 河合:これは、地の文がなくて、手紙やメールのやり取りだけで構成されているんです。 坂東:(本を覗き込みながら)えー!本当だ。 河合:学生の頃に図書室か図書館で見つけて、閉館までの時間内で一気に読んでしまったのを覚えています。 坂東:こんなに長いのに? 河合:でも、やり取りだけで書かれているから、改行が多く、見た目ほど読むのに時間が掛からないんです。あとは、物語の展開に鳥肌が立ちました。坂元さんのドラマを見ていても思いますが、本当に、人の心を揺さぶる方法を知っている方だなと。内容にもフォーマットにも衝撃を受けた一冊です。坂東くんは本をあまり読まないって言っていたけど、これは挑戦しやすいのでどうぞ! 坂東:面白そう。僕は小説にはそんなに親しんでいないので、“文字がない”ものを持ってきました。