（ブルームバーグ）： 10億人近いインドの有権者が19日に投票を開始し、６週間余り続く総選挙の幕が切って落とされた。モディ首相にさらに５年、３期目を託し、経済とヒンズー・ナショナリズムをミックスさせた政策推進を継続させるか審判を下す。

世界最大規模となるインドの総選挙では、有権者全員に投票用紙を届けるための複雑な作業を考慮し、６月１日まで７段階に分けて投票が行われる。南部のタミルナド州と20の地域では19日に投票が実施される。

モディ氏率いるインド人民党（ＢＪＰ）は、首相の人気、自国経済の強さ、国民の大多数に支持されている親ヒンズー教の政策を掲げて選挙戦を展開する。これに対し、国民会議派を中心とする野党連合は、失業者や貧困層への配慮が不十分だと主張。選挙結果は、開票が行われる６月４日まで分からない。

モディ氏は高い支持率を誇っており、ＢＪＰは過半数を握る現有議席数をさらに伸ばす大勝を目指している。約３分の２に相当する543議席中370議席を獲得し、連立を組む政党と合わせて400議席を目指す。前回2019年の選挙でＢＪＰは303議席を獲得している。

インドの重要性は現在、世界的に高まりつつある。米国は、中国に対抗する勢力としてインドに期待を寄せており、アップルやテスラなどのグローバル企業はインドでの存在感を高めようとしている。

モディ氏にはこうしたインドの地位向上と、世界の主要経済国の中で最高の７％強の成長という追い風が吹いている。貧困層への食料無料配布や調理用ガス補助のようなＢＪＰが支援する社会プログラムは首相の人気の源だ。

ただ、野党や活動家たちは、モディ氏のヒンズー・ナショナリズム政策は分裂を招き、インド独特の「世俗主義」に反するものだと指摘。今年１月に、北部ウッタルプラデシュ州アヨディヤでイスラム教のモスク跡地にヒンズー教寺院が開設されたことは、モディ氏の大きな成果の一つだ。インドではヒンズー教徒が人口の約８割、イスラム教徒が約14％を占める。