盆栽の王様、マツに挑戦! 幹や枝に形をつける「針金成形」は今が適期
趣味の園芸テキスト連載「はじめてのミニ盆栽」。〈春編〉花もの、〈夏編〉雑木類、〈秋編〉実ものに続いて、最終回の〈冬編〉は、いよいよ「盆栽の王様」ともいわれるマツに挑戦します! 幹や枝に形をつける「針金成形」で気軽にマツと遊んでみましょう。盆栽家の山田香織さんが教えてくれました。
好きな形に幹や枝を曲げてみよう
盆栽ならではの遊びの一つに「針金成形」があります。幹や枝に盆栽用の柔らかいアルミ線(針金)を巻きつけ、針金と一緒に曲げてしばらくおくと、形がついて盆栽らしい表情が生まれます。 マツなどの針葉樹を盆栽界では「松柏類(しょうはくるい)」と呼びます。松柏類は10~3月が針金成形の適期です。マツは敷居が高い印象があるかもしれませんが、幹や枝が柔らかくて折れにくく、お正月飾り用に出回る若いマツのポット苗は、針金成形の練習に、もってこいの教材です。 盆栽の代表的なマツにはクロマツ、アカマツ、ゴヨウマツなどがありますが、初心者には折れにくく、丈夫なクロマツがおすすめです。クロマツの苗木の幹や枝に形をつけて、自分の好みの盆栽に育ててみましょう。
針金成形は、ペットのしつけと似ている
盆栽は植物を健康的に育てるだけでなく、愛情と手間をかけて、好みの姿に仕立てていく楽しみがあります。木を育てながら少しずつ形をつけていく針金成形は、ペットのしつけにも似ています。 小さいうちから自分でしつけて育て上げた盆栽は、唯一無二のかけがえのない相棒になってくれます。
クロマツのポット苗。どの樹種でも根張りのよい3年生以上の苗を選びましょう。針金をかける前に観賞したい向き(正面)を決めて、正面から見て多すぎる葉や不要な枝を減らして、姿を整えておきます。
針金をかけて幹を曲げた状態。幹に針金を巻きつけてから下から上に少しずつ曲げていきます。一気に曲げず、両手の指の腹でたわませながら力を加えていくと形がつきやすくなります。
盆栽家 山田香織(やまだ・かおり) 埼玉県・大宮盆栽村にある老舗盆栽園の5代目。2008~2011年までEテレ「趣味の園芸」のキャスターを務める。盆栽教室やメディアを通じて、初心者でも気軽に楽しめる盆栽の魅力を伝えている。著書に『山田香織の はじめての盆栽樹形 10の景色を楽しむ』(NHK出版)など多数。 『趣味の園芸』2024年1月号 季節連載「山田香織 はじめてのミニ盆栽 冬編/マツに挑戦!(最終回)」より