【解説】“日の丸半導体”復活は? 日本が直面する課題
日テレNEWS NNN
株価が史上最高値を更新しましたが、その要因の1つが「半導体」株の上昇です。その半導体を製造する大手、台湾のTSMCが24日に熊本工場の開所式を行います。 半導体を巡り巨大企業の進出に沸く地元と、日本政府が直面する課題について、現地で取材してきた経済部の戸田舜介記者が解説します。
■台湾の巨大半導体企業TSMC 国が誘致した背景は?
藤井貴彦キャスター 「家電などに使われて、生活に欠かせない半導体ですが、台湾の巨大半導体企業を誘致した背景には、何があるんでしょうか?」 経済部・経産省担当 戸田舜介記者 「まず、一言で半導体といっても、多くの種類があります。その中でも、テレビなど家電に使われるものは、日本のメーカーでも製造しているんです。ただ、自動運転など、より高度な情報処理に必要な産業に使われる『先端半導体』と呼ばれる半導体を作れる日本のメーカーは、ないんです」
藤井キャスター 「車の自動運転などに使われる半導体メーカーは、日本にはないということなんですね」 経済部 戸田記者 「そこで日本のメーカーでも、こういった半導体を作れるようにするために、国が台湾から誘致したのが、先端半導体の製造で世界大手のTSMCというわけなんです」
■世界シェア約10% 「日の丸半導体」の凋落?
藤井キャスター 「半導体不足に苦しんでいた時期もありますけれど、なぜ、そんなに急いでいるんでしょうか」 経済部 戸田記者 「日本の半導体はもともと『日の丸半導体』などと呼ばれ、80年代には世界シェア50%を誇ったこともありました。しかし90年代以降、世界シェアは徐々に低下し、いまでは10%にしか過ぎません。このまま何もしなければ、将来的にほぼ0%になる可能性もあります」
藤井キャスター 「なぜこんなに凋落(ちょうらく)してしまったのでしょうか?」
経済部 戸田記者 「複数の政府関係者が、『20年来、国が補助金を出してこなかった』ということをあげています。この間、台湾や韓国などは大規模な補助金や減税を行い、国全体で半導体関連企業を後押ししてきたんです」