「弱い者いじめだと感じました」漬物生産者の70%以上が廃業に…千葉県の道の駅、農産物直売所から聞こえたさみしい声「また一つ大切な物がこの国からなくなりました」
「弱い者いじめだと感じました」
「いちばん最初は、“弱い者いじめ”だと感じました。おばあちゃんたちが自由に作れなくなるのか……と。また、干して塩に漬けるだけの梅干しくらいは、もう少し基準を緩くしてもいいのではないかと思いました。ただ一方で、HACCP(ハサップ)やGAP(ギャップ)などができて、この3、4年でルール化が進んだので、おばあちゃんたちも慣れていて大丈夫だとは思いますが、そのままの衛生環境でやっていていいものかと、両方思ったことも確かです」(伊勢田さん) HACCPとは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」(危害要因分析、重要管理点)の頭文字を取った言葉。国際的な食品衛生管理手法であり、これからの漬物を生産・販売する人には、このルールに沿った衛生管理が義務付けられることになった。 「今回の食品衛生法の改正はすぐに施行されたものではなく、3年ほどの猶予期間は与えられていたのですが、それでももう少し、なにかやり方があったのではないかと思ってしまいます。私が知らないだけで、直売所などに調査が入っていたのかもしれませんが、こちらに調査やヒアリングなどもなくての改正だったので、もう少し現状を知ってから考えてほしかったと思います。 時代的に厳しいのかもしれませんが、残念な気持ちですね。改正後の食品衛生法の基準に合わせるために、自宅とは別の場所に施設を作るためには安くても100万円くらいはかかると思います。70~80代の生産者の方がそれをやるかといわれれば、普通に考えればやらないですよね。また、店の店長という立場でいえば、商品がなくなってしまうのは厳しいし、お客さんにも申し訳ない。『〇〇さんの梅干しがよかった』と言ってくれる方に売れなくなってしまうのは残念です」 今回、廃業を決めたのは、主に70代後半、80代の人たちで、届け出を提出してこれからも作っていく決意をしたのは、60代や70代前半の方など。生産者の中では比較的若い層の人たちが、この改正を乗り越えられたようだ。