神木隆之介、日曜劇場初主演に「僕でいいのかというプレッシャー」 “心に眠るダイヤモンド”は?
大先輩・國村隼の技に一同大盛り上がり
――斎藤さん、杉咲さん、土屋さんが演じる役柄について詳しく教えてください。 斎藤「鉄平の兄・進平は、その時代に起きたことや、それによって残ったもの背負いながら、端島に宿る何かを信じて生きている人物です。鉄平が島に帰ってきたことで、端島の明るさのワット数が上がって、僕だけではなく家族にも光が差し込まれていくグラデーションを大切に演じています」 杉咲「朝子は鉄平の幼馴染でもあり、ずっと密かに恋心を抱いていて、それを言葉にできないもどかしさも抱えている役どころです。食堂の看板娘として忙しい日々を送る中で、美しいものを見つけると思わず立ち止まるような豊かな心を持っている人。端島には植物がなかったので、花はすごく貴重なものでしたが、なんとか集めた少ない花を職場に飾って大切に過ごしています。そんな感覚を自分の中でも持つため、私も実際に家で花を1輪活けて生活しています」 土屋「百合子も鉄平と朝子の幼馴染。新しい女性像を目指すような明るく自由奔放なキャラクターに見えるのですが、いろいろなことを背負っていて…。でもそれを見せずに生きている女の子です」 ――他の共演者とのエピソードをお聞かせください。 神木「いづみ役の宮本信子さんは、優しくてパワフルで、本当に助けられています。リハーサルが終わったあとに『玲央くん、どうする?』『じゃあ、私はこうしてみるね!』と、面白いものと出合えるのではないかという、期待と希望に満ちた表情で相談してくださるんです」 斎藤「本読みでの宮本さんの姿も印象的でした。本読みはどうしても台本の文字を追う作業になりがちなのですが、宮本さんはずっと神木さんを見つめていて、心で捉えている姿に痺れました。僕は父・一平役の國村隼さんとのシーンが多いのですが、國村さんはカメラの画角的に、『ここに顔が来るといいな』という場所にちょうど合わせてくる天才的な技をお持ちで、僕らはそれに『KUNIMURA』という体操競技のような技名をつけています」 神木「柱がいっぱいある場所で、遠目からカメラを回しているシーンがあったのですが、國村さんが歩くところからはカメラ位置もよく把握できないような場所だったんですよね。限られた隙間からしか撮影できない状況だったのですが、本番でカメラに映る位置にピタッと止まっていて」 斎藤「そうそう。しかもリハーサルからカメラ位置が変わっていて、それは國村さんに伝わっていなかったんです。なのに本番でバチッと決めていて「KUNIMURA」決まったー! 金メダル! って思いました」 神木「来たーっ! 芸術点高いですねぇ! ってね(笑)。國村さんにそれをお伝えしたら『技名になっちゃってうれしいなぁ!』っておっしゃっていました」 ――本作の制作陣は、数々の名作を生み出す最強チームともいわれていますが印象は。 神木「作品が発表されたとき、記事に軒並み『最強チーム』と書かれていて、そんな3人についていけるのかと一瞬不安になりました。でも、それだけ皆さんが認めるチームが味方なら安心だなと。野木(亜紀子)さんが紡ぐ言葉や、塚原(あゆ子)さんの芝居のハードル、そして新井(順子)さんのキャストを見る目に、這いつくばってでもついていこうと思いました。実際の皆さんは和気あいあいとしていらっしゃいますよ!」 杉咲「野木さんの脚本からは、端島でパワフルに生きる人たちの姿がありありと目に浮かんでくるよう。人と人が隣り合って生きていくことへのエールや祝福を感じました。塚原さんと新井さんとは、『夜行観覧車』(2013年)以来、ご一緒させていただきます。地道に仕事を続けていたらこんなにうれしい再会が待っているんだなと、懐かしさも感じながら撮影に臨んでいます」 ――では最後に、ドラマのタイトルにかけてみなさんの「心に眠るダイヤモンド」を教えてください。 神木「僕の心に眠る“ダイヤモンド”は…『楽しさ』です。むしろ眠っていないかも! とにかく何でも楽しそうだなと思うほうを選びます。撮影の本番でもいろいろやりたくなっちゃって、お芝居としての安パイを取らないことも。でも、そのほう生活している動きとしては自然だったりするんですよね。あとは、面白そうだなと思って國村さんにいきなり靴下を投げてしまったりとか(笑)」 杉咲「投げていたね!」 神木「撮影前に國村さんに『僕の靴下が顔面に飛ぶかもしれません』とお伝えしたら、『全然いいよ! ウェルカム!』と言ってくれて。本番でも意外と狙った場所に投げることができました」 斎藤「顔面靴下投げ、『KAMIKI』ですね(笑)」 神木「そういう楽しそうな方向に行こうというのが僕の“ダイヤモンド”です!」 杉咲「私の“ダイヤモンド”は太鳳っちです! 私が連続テレビ小説のオーディションを受けたとき、ちょうど太鳳っちが朝ドラのヒロインで。緊張しながら出番を待っていたら、たまたま通りがかった太鳳っちが『花、オーディションなの?できるよ! 大丈夫!』と言ってくれたんです。それにとても勇気をもらって、今でも大切な思い出になっています」 土屋「ありがとう……! 私にとっても花の存在はすごく大きくて、会えていなくても花が出ている番組は絶対に観ています。お芝居はもちろん、人としてもお芝居も、全部が大好きです」 神木「現場でもずっと2人でいるもんね!」 土屋「ストーリーの役柄では少し仲が悪いのですが、お互いが好きだからこそボタンの掛け違いのようになってしまっている部分もあると思います。その2人の関係性も注目してほしいです」 斎藤「2人の話で心が洗われたのでもういいかな?(笑)。僕の“ダイヤモンド”は國村さんと、辰雄役の沢村一樹さん。大先輩で、たくさんのことを学ばせていただいています。本作では、沢村さんがご自身で髪を切られているという話を聞いて、僕も自分で髪を切るように。たしか当時の端島で現代的なカットをする美容師さんはいないですよね。ただ横側が上手に切れなくてきのこみたいなフォルムになってしまうので、現場で横だけメイクさんに切ってもらっています(笑)」
ENCOUNT編集部