「友達が家にくる前には模様替えを」高橋文哉の地元の交友関係からひも解く、彼が愛される理由
1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。 【画像】高橋文哉さんの写真をすべて見る 「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。 ピュアな恋愛が似合うその人は、真っ直ぐな目でこう言った。「人に喜んでほしいんです」。誰かのために、尽くせてしまう人。 なぜそこまで。その原点は――。
監督のつくる画のなかで、どれだけ暴れられるか
「今日は全部フィルムですか?」 顔見知りのカメラマンに気さくに話しかける高橋文哉さん。夜の撮影だというのに、疲れも見せず人懐っこい笑顔で現場を明るく照らす。3月には日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、快進撃が止まらない。最新作の映画『からかい上手の高木さん』では、これまで見せたことのないような一面を披露している。メガホンを取ったのは、恋愛の機微を繊細に描いてきた今泉力哉監督だ。 「今泉監督のつくる画のなかで、どれだけ暴れられるかが大事だなと思いながらやっていました」 永野芽郁さん演じる中学の同級生の高木さんに、からかわれる中学校の体育教師・西片役。ドキッとしたりビクッとしたり、リアクションが肝となる作品だ。 「高木さんに不意にからかわれても、ちゃんと返せるように常に意識していました。撮影に入る前は、家で数秒後に音の鳴る機械をセッティングして、鏡を見ながらどのくらいのテンションが自然に見えるか試してみたり。でも、初めてのリハーサルでは、自分でも想像しなかったような大きな声が出てしまってそれに驚きました(笑)」
役のオン・オフはつくらないタイプ
撮影はすべて小豆島で行われた。眩いほど美しい海、空、木々。豊かな自然の風景が、登場人物たちの言葉にならない揺れる思いを鮮やかに彩る。高橋さんは島の空気感を体に染み込ませるため、どこへ行くにも自転車で島を巡った。 「もともと役のオン・オフをつくらないほうなのですが、無意識に役の仕草がプライベートでも出てしまうこともあるみたいです。島にいる間はもしかしたら、僕のリアクションも大きめになっていたかもしれないですね」 本作では高木さんと西片の物語と並行して、西片の教え子の中学生の淡い恋模様も綴られている。ちなみに高橋さんの中学時代はどんな感じだったのだろう。 「バレーボール一色でした」 ふたりの兄の影響で6歳からバレーボールを始め、中学3年生のときにはキャプテンも務めた。さぞかしモテたでしょう? と水を向けると「そうですね(笑)」とさらりと認めてくれた。 「ドラマに出てくるようなレベルではないですよ? 廊下を歩いていたら、教室から『文哉先輩! 』と声をかけられるくらいです。いま思い返しても最高でした!」 同性異性関係なく、みんなに好かれそうなタイプ。漏れ聞くところ、かなりの友達思いでもある。芸能界の友達も増えたが、忙しくなったいまも、休みが決まると真っ先に連絡するのは地元の友。自宅に招くことも多く、前夜に部屋の模様替えをしたりするそうだ。 「『また変わってる! 』と友達が驚いてくれるのが嬉しいんです」 友達や先輩に誘われれば極力出向こうとする付き合い上手でもある。誰とでも仲良くできるコツを尋ねると、「それは僕も知りたいです。誰とでも仲良くはなれないですよ」とボソリ。ただ、相手のことはものすごく考えると続けた。 「例えば初めて共演する相手だったら、いまはネットでいくらでも情報を集められますから、その方の過去のインタビューを読んだり、好きなものを調べたり、昔はよくしていました」 それも仕事の一環と捉えていた。役柄にもよるが、相手の人となりを知っているほうがコミュニケーションも円滑になり、良い作品をつくる助けになると信じている。 高橋文哉(たかはし・ふみや) 2001年3月12日、埼玉県生まれ。 2019年『仮面ライダーゼロワン』で主演に抜擢、以降ドラマ『最愛』、『君の花になる』、『フェルマーの料理』に出演。映画『交換ウソ日記』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画『ブルーピリオド』が8月9日公開。 衣装クレジット ニット 640,000円、パンツ 220,000円、リング 76,000円/すべてディオール(クリスチャン ディオール) K-POP界のレジェンド、ドンヘさん、ウニョクさんをお迎えしたスペシャルインタビュ―、JOさんと愛猫ミントの貴重な2ショット、SNSで話題沸騰中のマンガ『猫に転生したおじさん』作者・やじまさんによる特別描きおろしマンガ&シール付録など、「猫のいる毎日は。」特集は「CREA」2024年夏号でお読みいただけます。
黒瀬朋子