コスト削減・低価格が目的ではない、セブン-イレブンが掲げる独自のPB戦略とは?
素材の選出から供給ルート、生産ラインの計画・確保まで、それぞれが強みを発揮することで魅力的な商品が生まれる。1商品当たりの売り上げ規模の大きさだけでなく、開発前の検討段階、テストマーケティングにおける検証段階で、国内で最大規模となるPOSデータを利用できることから、メーカーにとっても販売チャネルとして大きな魅力となっている。 従来のPB商品の場合、大手NBメーカーに対抗する場合が多かったが、コンビニエンスストアとNBメーカーが、共同で開発することとなる。商品開発、生産技術力を持つメーカーと、顧客情報、販売情報を持ち、顧客の細かいニーズを把握している小売業が手を組むことで、より付加価値が高い商品を提供することが可能となる。 「セブンプレミアム」は、CVS・GMS・SM・百貨店・外食・専門店など、それぞれの商品知識や調達力を結集し、多様な業態を持つセブン&アイグループの経営資源の強みを活かした商品開発を行っている。同時に、各商品分野で技術力のある有力NBメーカーとの共同開発、最適な生産能力を持つ工場での製造など、グループがそれまで培ってきたチームMDの手法を結集した点が特徴となっている。 各社が連携することで、開発、原料調達、生産のサプライチェーン全体での取り組みとして、質向上をめざしている。このような開発は、コスト削減=低価格を最優先項目としてPB生産専門メーカーなどに委託して商品づくりを行ってきた従来のPBとはまったく違ったものとなっている。セブン&アイグループMD部会は、現在、26部会、約300名の開発体制となっている(2022年3月末時点)。 また、従来のPB商品は販売者名だけを表示していたが、「セブンプレミアム」は、生産者(製造元)のメーカー名を商品に明記している。小売業者の信頼と同時に、メーカーの信頼を得ることとなり、「わかりやすい」「安心して買える」というかたちで支持されたとしている。 「セブンプレミアム」の質向上に向けての取り組みにあたって、次のような体制を敷いている。