俳優・大西信満、熱意ある後輩たちを“経験”でサポート。過去には企画、製作、上映まで…「強い思いは伝播する」
――劇場公開が今というタイミングも良かったですね。毎熊さんも藤原さんも注目を集めているので、記事として取り上げられる機会も多くて。 「そうですね。自分がコロナで3年ぐらい時間が止まっていた間も、彼らは着実にキャリアを重ねているのを遠くから見ていて。毎熊くんは、何かやってなきゃ気が収まらないみたいな感じで、この作品には出演してなくても、プロデューサーとしてチケットもぎりとかもやっているわけで。 彼らは自分よりだいぶ若いけれども、やっぱりそれだけ強い思いがある人たちの熱みたいなものは伝播するんです。しばらく彼らとも会ってなかったけど、再び動き出したのは、去年テアトル新宿で『デビュー10周年記念 藤原季節特集上映』が行われて、それが始まりでした。 テアトル新宿で特集が組まれるようになった時点で大飛躍なわけですよね。そのときに『東京ランドマーク』も上映作品に入れてもらったのですが、『10周年で特集を組まれるような存在になったんだから、これを機に、原点ともいうべきこの作品を、今ちゃんと劇場公開できるように動こうよ』って話をして。 忘れちゃいけないのは、今やどうしても目立ってしまう存在になった毎熊くんだけじゃなく、日々劇場でお客さんを迎えているエンガワのみんなで。林監督をはじめ、みんな自分たちで知恵とお金を出し合って、ようやくここまで辿り着いたわけで。 長い時間を経てやっと日の目を浴びた作品なので。いきなりそれがポーンとスポットライトが当たるほど甘くはないのはわかっているけど、これが少しでも前に行く足がかりになってくれたらいいなって。 なかなかそういう風に思わせてくれる現場って、あまりないですからね。撮影が終わって、一応連絡先を交換したりはするけれども、別に(電話を)かけることも、かかってくることもなく…という人との距離感がどんどん希薄になる世の中で、彼らはやっぱり熱量が違ったので。チームのみんなにとって、この作品が上映されたことで、少しでも、いい明日になっていってくれたらうれしいですよね」 熱意ある後輩たちへの惜しみない愛を感じる。俳優としてだけでなく、企画の前段階から製作、上映まですべて経験してきている大西さんのサポートは心強い。日本映画界に欠かせない存在。(津島令子)