盛り土、茨城県全域で規制 来年度にも 罰金最高3億円
危険な盛り土を規制して土砂災害を防ぐ「盛土規制法」が昨年施行されたのを受け、茨城県は来年度にも、中核市の水戸市を除く全域を盛り土の許可が必要な「規制区域」に指定する方針を固めた。同市も指定に向け調査を進める。違反した法人には、最高で3億円の罰金を科すなど対策を強化した。大雨による崩壊や土石流被害を抑制し、住宅地や山間部の安全を確保する。 盛土規制法は、2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流被害を受け、23年5月に施行。豪雨などで盛り土が崩れる恐れのある区域を知事や市長が指定し、区域内での造成工事を許可制とした。違反した法人には、最高で3億円の罰金を科すなど対策を強化した。 県が規制区域として指定を予定するのは、水戸市を除く43市町村の全域。市街地や集落など人家のある地域を規制する「宅地造成等工事規制区域」と、盛り土により土砂流出の恐れがある「特定盛土等規制区域」を地域の状況に合わせて指定する予定。 宅地造成区域は主に、県央や南西部、沿岸部など、特定区域は県北の山間部を中心に、それぞれ指定していく方針。中核市の水戸市も本年度中に規制区域指定に向けた調査を実施し、指定を進めていく。 指定後は市街地で盛り土工事を行う場合、高さ1メートルを超える崖が生じたり、造成面積が500平方メートルを超える際に許可が必要となる。土砂の仮置きなど一時的な堆積でも、高さ2メートル超か、面積300平方メートルを上回る計画には許可が求められる。 県によると、盛り土に関する規制はこれまで、都市計画法や森林法、農地法など土地利用の目的ごとに定められていた。今後はこうした規制に加え、全国一律の基準を設けることで包括的に危険な盛り土造成を防ぎ、住宅地の安全確保や森林の機能維持を目指す。 県内の規制区域案は、県がホームページで公開し、23日までパブリックコメント(意見公募)を受け付けている。意見を踏まえ、許認可の要領や審査基準などを決め、来年度をめどに指定を目指す方針だ。 熱海市の大規模土石流被害を受け、県は独自に県内状況を点検し、県内13カ所の盛り土で「崩れた場合の安全確保に問題がある」と公表した。このうち、1月末現在で対応が完了したのは2カ所で、8カ所で是正指導を進めている。 県建築指導課は「全ての地域で一律に規制することにより、住宅地や道路など県民生活の安全をしっかりと確保する」としている。
茨城新聞社