「笑顔の輪、奄美にも」 人力車で日本一周 福浪さん(明石市)来島
「人力車でつなぐ笑顔の輪」をテーマに日本一周の旅をしている福浪弘和さん(37)が今月上旬から、炎天下が続く鹿児島県奄美大島を訪れている。奄美では人の優しさに触れる場面が多かったといい「親切でフレンドリーな人が多く、今まで訪れた土地の中でもピカイチ。多くの人に声を掛けてもらい、元気をもらいました」と大粒の汗を額に浮かべながらほほ笑んだ。 福浪さんは兵庫県明石市出身。2019年に観光で訪れた東京の浅草で人力車に出合い、目線の高さや風を切る爽快さに魅了された。地元に戻り、その感動を伝えた時に実感したのは「人力車に乗ったことがある人がいない」。観光地では乗車料金が平均で10分2、3千円することに加え、子ども料金が設定されていないことが多いという。 「感動を多くの人に伝えたい」。20年、190万で人力車を購入。コロナ禍だからこそ人を笑顔にしたいと本職の料理人(和食)の傍ら、地元で無料の乗車体験を提供してきた。 走ることが好きな福浪さんがマラソンを始めたのは7年前。19年の大阪マラソンでは「げたランナー」としてげたを履いてフルマラソンを完走し、ギネス記録達成の経験を持つ。 日本一周を始めたのは、22年3月。都道府県庁への立ち寄りをルールと決め、愛車の人力車「福浪号」と共にこれまで19府県を巡り、2万人を超える人を乗せた。一日に6、70キロ走るという。 鹿児島本土で知り合った人から十島村の小宝島を紹介された先で興味を持ち、7日に奄美入り。5市町村を回り、子どもから高齢者まで多くの人に笑顔を届けてきた。 日本一周中は基本は野宿で過ごし、14日の朝はヤドカリに囲まれて目覚めたという生き物好きの福浪さん。奄美大島から徳之島の固有種「スジブトヒラタクワガタ」も見たと目を輝かせ「奄美はトイレが多く、きれいに維持されているところもいいところだと感じた。今度は旅行で来島し、ゆっくり巡りたい」と再来を願った。
奄美の南海日日新聞