新人王投票4位、サイ・ヤング賞投票5位――メジャー1年目で今永昇太が苦闘の末に勝ち取った確固たる「勲章」<SLUGGER>
オープン戦デビューとなった3月2日のドジャース戦(2.1回を投げて3安打3失点、5三振無四球で敗戦投手)ではっきりと目に見える形で現れた。 「ここで生き残るためには、試合の中で真っすぐの配分をどう変えるかだと思う。相手が待っていないボールを予測して、投げないことには通用しない時もあるし、そこは冷静に判断して、強引に行ってはいけないところを確認しながらやりたい」 安易にストライクを取りに行ったり、コースの高低を間違えば、高い確率でオーバーフェンスになった。自分では押し込んだと思った真っすぐも、フェンス際まで飛ばされた。それは、短期決戦のWBCで感じたパワーの違いを日常的に実感する日々が始まった証でもあった。 一方で、MLBの先発ローテーションへの適応も迫られた。 「基本的には中5日なんですけど、それでもすぐに次の登板が来る感じですし、登板間隔が短ければ、ブルペンの球数やランニングの量が変わってくるので、同じメニューは一日とやっていてない感じです。同じメニューでも、自分のコンディションに合わせてセット数を増やしたり、減らしたり、重量を増やしたり、減らしたり。こういう体調の時はこれっていうのを、いろいろと経験することで見つけ出したいなと思う」 迎えた4月1日、ロッキーズを迎えてのホーム開幕戦がMLBデビューとなった。6回2安打、9奪三振無四球で初勝利を挙げた時、彼は「根拠を持って、しっかり投げるってところを意識した」と振り返っている。 「もしもこれを船出で例えるなら、港からまだ船からロープを外しただけというか、これから150試合以上あるわけで、よし、これでやれるぞなんて気持ちはまったくない。今日は余韻に浸って、また気を締めて過ごしたいなと思います」 シーズン序盤の活躍は、日本でもかなり報道されたと聞いている。 デビューからの9先発(救援投手の先発を除く)で、防御率0.84という史上最高記録を樹立。7月のオールスターには大谷翔平(ドジャース)らとともに選出され、救援ながら1995年の野茂英雄氏以来となる日本人ルーキー登板も果たした。 ただし、今永は当時すでに「高めの速球と低めのスプリット」を武器とした自分のピッチングに相手チームが適応し始めているのを実感していた。 6月以降は徐々に集中打を浴びる場面が目立ち始め、月間防御率だけ見ても、6月が5.67、7月が2.55、8月が3.68と安定しなかった。それまで以上に1球の失投が引き金となって、大量失点する試合が目立ち始めた。そこで彼を助けたのは、キャンプ中に彼自身が口にした「どんな困難な状況にもうまく対応していく」という柔軟姿勢である。 課題を見つけ、いろんな人に意見を聞く中で対処するための仮説を立て、それを実証していく。もちろん、そのためにはまずコンディションを整えなければならないし、登板後のリカバリーも含め、トレーニングの仕方にアレンジを加えることも必要だ。 それに加えて、キャンプ中から一貫して継続してきたことの一つはトミー・ホットビー投手コーチや、ダニエル・モスコス投手コーチ補佐と対話を重ねる中、シーズン終盤には通称、「三本指シンカー」なる新球まで配備するようになっていた。そのおかげで9月の月間防御率は1.67と、シーズン序盤の3・4月の0.98に次ぐ好成績を挙げている。
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