「ここはおまえらの国ではない」、入植者は叫んだ イスラエル・パレスチナの報復の連鎖、今年に入り150人以上が死亡
ネタニヤフ政権はこの2人に強く影響され、昨年末に発表した指針で「ユダヤ人は(西岸を含む)イスラエルの全ての土地で独占的で議論の余地のない権利を持つ。政府は入植活動を促進する」と宣言した。スモトリッチ氏は「ハワラの消滅が必要だ」と発言、襲撃した入植者を擁護する姿勢を示している。 ▽消せない自由への希求 イスラエル軍による武装パレスチナ人への急襲作戦は「拘束」が目的とされるが、「対テロ作戦」と称し、パレスチナ側が抵抗すれば周囲の民間人が犠牲になることもためらわず攻撃する。 一方、パレスチナ側は一般市民を標的にするケースが多く、1月27日には東エルサレムのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)で銃撃し、7人を殺害した。 パレスチナ人による占領への抗議デモでも衝突が相次ぐ。西岸南部ヘブロンでは2月24日、イスラエル軍がデモ隊に催涙弾などを発射し衝突に発展、多数のパレスチナ人が負傷した。1994年に極右入植者の医師がヘブロンのモスク(イスラム教礼拝所)で礼拝中のパレスチナ人に銃を乱射し29人を殺害した事件から29年となるのに合わせたデモだった。丸腰で投石するパレスチナ人に重武装の兵士が「もっと近づいてこい」と笑いながらあおり、催涙弾を撃ち込む場面もあった。
ベングビール国家治安相はこの医師の熱烈な崇拝者として知られ、自宅の壁に写真を飾っていたと報じられている。 報復の連鎖に収束の兆しが見えない中、パレスチナ人ジャーナリスト、ダウード・クターブ氏はイスラエル紙ハーレツで、こう指摘した。 「人々は外国軍の占領下で生活するのを嫌う。歴史的なトラウマ体験を持つイスラエル人がなぜこれを理解しないのか、推し量るのは難しい。急襲作戦で何人かの武装勢力を殺害しても、パレスチナ人の自由への希求を消し去ることはできない。むしろ憎しみと報復への動機を与えるだけだろう。互いに民族自決を認め合ったときに初めて、一連の暴力は終わる」