地元食材のイタリア料理店 「生産者に近い場所に」 有名店切り盛りの夫妻/兵庫・丹波篠山市
宿泊もできるイタリア料理店「SEME(セーメ)」が、兵庫県丹波篠山市東古佐にオープンした。ミシュランガイドの「ビブグルマン」の評価を8年連続獲得した大阪の有名店を切り盛りしてきた花田正寿(まさひさ)さん(48)、聡子さん(47)夫妻が「より生産者に近い場所に」と、7月に移住。自宅を兼ねた店舗で地元の食材を使った料理を提供する。花田さん夫妻は「生産者と客をつなぎ、生産者の思いを伝えていきたい」と話している。
大阪市北区中津で素材の味を生かしたイタリア料理店「タベルナ・ラ・キアーヴェ」を15年間、経営。思いのある生産者から直接仕入れた旬の素材で美食家相手に腕を振るい、ビブグルマン(価格以上の満足感が得られる料理)を出す店に選ばれた。 しかし、「生産者に対しての客の関心が高くなかった。生産者にもっと向き合いたい」と思うようになったのをきっかけに聡子さんの母の出身地、丹波篠山市を訪れるようになった。そこで出合ったみずみずしい食材にほれ込み、8年ほど前から、有機野菜やジビエを仕入れた。 店名は、イタリア語で「タネ」を意味する。「生産者に寄り添う原点に戻り、次世代への種まきをしたい」との思いを込めた。
築50年を超える古民家の梁や柱などの骨格は残し、おしゃれなレストランに改装。カウンター6席とテーブル3席を設けた。店は高台に立ち、大きな窓からは田んぼと黒豆畑の丹波篠山らしい風景が見渡せる。 丹波焼の器を特注。メニューは「おまかせコース」のみで、昼(正午―午後3時)は有機野菜、ハーブ、川魚か鴨肉などを取り入れた前菜3品、自家製手打ち麺のパスタ、デザート、コーヒーが付いて4500円。パスタをもう1品、メインディッシュを追加した8000円のコースもある。夜(午後6―9時)は8000円のコースと同じメニューで1万円。 レストラン併設の宿泊棟は一日1組(定員4人)限定。夕食、朝食付きで1人2万2000円(以上、全て税別)。 不定休。完全予約制。