認知症の母のタンス預金「300万円」を発見! 管理のために自分の口座に入れるのはNG?「税務調査」が行われる可能性もあるの?
認知症の親のタンス預金を発見したとき、どうしますか?「自宅に置いておいたら危ない」、「管理できるように、取りあえず自分の口座に入れておこう」と思う人はいないでしょうか? しかし、その考えはやめておきましょう。後々、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があるからです。なぜなのか、本記事で解説します。
母親のタンス預金は母親の財産
お金には名前が付いているわけではないですし、さらに母親が認知症で意思判断能力を失っている状況であれば、「家族の財産」だと少し勘違いしてしまうかもしれません。 しかし母親がどのような状況であれ、母親のタンス預金は母親の財産です。誰かが勝手に取り込む行為は、母親の財産を盗んだのと同じになります。管理がしにくくても、母親の口座に入金しましょう。
同意があってもダメ
それでは母親に、「タンス預金を300万円も自宅に置いていたら危ない。取りあえず管理しやすいように私の口座に入れておいてよい?」と聞き、同意を得た場合はどうでしょうか。 通常であれば贈与として処理されるところですが、認知症の場合はそうはいきません。認知症で意思判断能力を失っている人は、贈与契約などの法律行為を行うことができないからです。贈与契約書を作成していても無効になるので注意しましょう。
親族トラブルも懸念される
そのほかの懸念点は親族間トラブルです。立場を変えて考えてみましょう。 例えば、自身の兄弟姉妹が母親のタンス預金を発見し、無断で自身の口座に入金していたことを知ったらどう思うでしょうか。さらには、それに気が付いたのが母親の財産の相続後だったらどうですか? 兄弟姉妹が意図的に盗んだと疑うのではないでしょうか。タイミングを見て母親の口座に戻すつもりだったとしてもです。 単純に管理のしやすさから自身の口座に入金したのだとしても、兄弟姉妹がそれを信用してくれるかは分かりません。認知症の母親から証言を取れないのであればなおさらでしょう。
税務調査がある可能性
母親に相続税が発生する場合、タンス預金300万円も母親の相続財産として申告しなければなりません。もし、自分の口座に入金したことを忘れて申告をしていなかった場合に税務調査が入れば、調査対象の定番であるタンス預金は格好の餌食となります。家族全員の財産状況をチェックされ、タンス預金の動きはあっさり見つかるでしょう。 そうなると修正申告と追徴課税が発生するうえに、兄弟姉妹がタンス預金に気が付いていなかった場合は税務調査を機に知られてしまうことになります。こうなると親族トラブルにならない方が不思議ですね。
まとめ
認知症の母親のタンス預金を、管理のために自分の口座に入金してはいけません。贈与、相続、親族の人間関係などさまざまな問題の発生要因となってしまうからです。タンス預金として自宅に置いておくのが心配な場合には母親の口座に入金しましょう。 出典 国税庁 No.4105 相続税がかかる財産 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部