拡大する再生可能エネルギー、鉄鋼・非鉄企業の貢献
脱炭素時代の主力電源として期待される再生可能エネルギーの普及を支える取り組みが、鉄鋼・非鉄金属産業で相次ぎ始動している。三菱マテリアルや日本重化工業などが地熱発電事業で技術力やノウハウを発揮し、日本冶金工業などが太陽光発電向けに高機能材を供給し、特殊鋼棒線メーカーは洋上風力発電の需要捕捉を視野に捉える。高炉系のエンジニアリング会社は洋上風力発電の部材供給を事業化している。再生可能エネルギーの普及には広域電力網の強化も必須であり、その整備も期待される。 JFEスチール西日本製鉄所福山地区の笠岡エリア(岡山県笠岡市)の一角に大型の工場建屋が完成した。JFEエンジニアリング(社長・大下元氏)が2024年4月の本稼働を予定する洋上風力の基礎構造部材「モノパイル」の生産拠点だ。 モノパイルとは1本のくい状の基礎部材。海底の支持基盤へと打ち込むことで、その上部に取り付ける風車を支える。全長約80メートル・最大口径約12メートルという超大型の鋼構造物で、1本当たりの鋼材使用量は最大1500トンに達する。 国内のモノパイル工場はこれが初だ。これまで欧州など海外勢の独壇場だったこの部材の国産化に挑む形になる。 同事業の投資額は約400億円。JFEエンジ始まって以来、最大の投資額となる。この大型投資を決断する上で背中を押したのが、JFEスチールから供給を受けるモノパイル素材の大単重厚板だ。 大単重厚板は1枚の重さが最大37トンと、一般的な20~28トンの厚板と比べ重量・表面積が大きい。モノパイルの素材に大単重厚板を用いると、一般的な厚板と比べ溶接量や組み立て工数が少なくて済む。 こうした利点が施工コストの低減や製造時間の短縮につながり、結果としてモノパイルの製造コストを下げられる。JFEエンジにとって競争力を高める大きな武器になる。