センバツへの軌跡/2 勝機逃さず守りきる /京都
<第91回選抜高校野球> 昨年の秋季府大会で、井本自宣監督(45)が「戦う意識に火を付けてもらった」と振り返る対戦がある。二次戦2回戦で当たった福知山との試合。勝負は延長十一回までもつれ、福知山成美は1対0で辛くも勝った。 福知山とは同じ左腕投手に春の府大会でも前チームが苦戦を強いられていた。それを経験する6人が新チームに残り、二桁の10安打を放って攻めるが、スコアボードには0が並ぶ。最後は失策がらみで得点に結びつけた試合展開だった。 スカッとは勝てなかったが、目指す「最少失点に抑えて、少ないチャンスを確実にものにする野球」が見えた試合だった。井本監督は「しっかり最後まで0点に抑えられた。守りきるということを、肝に銘じた試合だった」という。 主戦の小橋翔大投手はコントロール良く、打たせて取るタイプ。精神力が強く、この試合でも11安打を受けながら要所で締めた。胃の痛むような展開に「終盤はやっぱり苦しかった。でも仲間が『絶対打ってやるから』と言ってくれたから。声かけのタイミングがいいんですよ。励みになった」と話す。 小橋投手は次の京都すばる戦にも登板した。バックを信じて投げ、2試合連続の完封劇を演じた。【佐藤孝治】=つづく 〔丹波・丹後版〕