皮膚科医が解説!ヘアアイロンで「やけど」したときの対処法
カールやストレートなど、手軽にアレンジができるヘアアイロンやコテ。けれど急いでいたり、うっかり気を抜いていると、手や首、顔に“やけど”をしてしまうこともしばしば…。 そこで本記事は、ヘアアイロンでやけどしたときの対処法を皮膚科医が解説。傷跡を残さないためにも、しっかりと手当てしましょう。 監修 - ジョシュア・ツァイヒナー医師:理事会認定皮膚科医で、ニューヨークの「Mount Sinai Hospital」の美容整形及び臨床研究の責任者。 - ダナ・スターン医師:ニューヨークの「Mount Sinai Medical Center」の皮膚科医兼皮膚科医助手。 - モナ・ゴーハン医師:「Yale School of Medicine」の皮膚科医兼准臨床教授で、「Dermatology Physicians of Connecticut 」の理事会認定皮膚科医。
ヘアアイロンでのやけど
ヘアアイロンのやけど(熱傷)は、超高温なものによって引き起こされる物理的外傷。ジョシュア医師によると、やけどは皮膚細胞に損傷を与え、ほとんどの場合「プログラム細胞死(細胞死の一種)」につながるとのこと。 やけどの種類 ・Ⅰ度:軽度のやけどで、赤みが残る程度。 ・Ⅱ度:表皮と真皮を損傷する、より重度のやけど。強い刺激を感じたり水ぶくれを引き起こす可能性も。 ・Ⅲ度:皮膚のすべての層に影響を与える、最も重篤なやけど。神経の末端部が損傷するため、激しい痛みを感じることはないそう。 Ⅱ度またはⅢ度のやけどをしているときは、「すぐに医師からの診察を受けてください」とジョシュア医師。 「やけどの治療は早ければ早いほど、より治りやすくなります。迅速な治療だけでなく、適切な治療をするということも大切です」
ヘアアイロンによるやけどの対処法
ここからは、Ⅰ度のやけどをしてしまったときの対処法を解説していきます。 ヘアアイロンによってやけどをしてしまった場合は、「炎症を抑え、健康的な皮膚のバリア機能を維持する治療が重要」とジョシュア医師は説明。 ヘアアイロンによるやけどをできるだけ早く治すためには、以下の対処法を試してみましょう。 1.冷やす ジョシュア医師曰く、やけどをした直後の治療法は皮膚の温度を下げて炎症を軽減させるために、冷たい湿布を貼って冷やすのが大切とのこと。氷で冷やすと悪化する可能性があるので注意が必要です。やけどした部分が冷えるまで冷水(流水)で冷やしましょう。 2.非ステロイド性抗炎症薬を塗る 湿布や冷水で約10分間冷やした後は、イブプロフェンやナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬を塗りましょう。そうすることで、やけどの痛みや炎症を軽減してくれるそう。 3.ワセリンを塗る できるだけ早めに皮膚科を受診し軟膏を処方してもらうこともできますが、いち早く対処でき安価かつ効果的なのは、ワセリンを塗ること。 モナ医師は「ワセリンは非常に優れた保護バリアであるため、皮膚の回復に役立つ」といい、これにはジョシュア医師も同意。 「ワセリンは、焼けた外皮を保護する膜を形成してくれます。肌を内側から治療するには、この保護膜を形成することが大切なのです」 4.包帯やガーゼで覆う 「やけどした直後の刺激は、皮膚の治療に大きく影響してしまう」とジョシュア医師。そのためやけどした部分にワセリンを塗り、包帯やガーゼを使用してしっかりと覆って固定しましょう。 5.ワセリンを塗り続ける ジョシュア医師曰く、治るまでは1日おきにワセリンを塗り直したほうが良いのだとか。 「傷口をワセリンで覆っておくと、傷口内の酸素濃度を低く保つことができます。そうすることで、より状態のいい治癒が可能になります」