にしな「終電がなくなって公園でぐだぐだしゃべって」新曲『It's a piece of cake』は音楽仲間と遊んだある日の話
――「“なんか、いけるっしょ”という気持ちになってくれたら」
COCO教頭:自分も見たことのある風景、日常が切り取られた曲ですよね。でも忙しいと……たとえば、「桜が散ったな」って私は今年気づいていなかったんです。芸人としてネタを作らないといけないとか、アンケートに答えなきゃいけないとかで余裕がなくて。でも、移動の時間に作業はできないので、そういうときにでも電車から桜を見て何かを感じる余裕は必要だなと思いました。それこそ、“It's a piece of cake”という言葉を暗示のように使ったらリセットできるなと思ったので、私のなかではおまじないみたいな曲だと感じています。 にしな:めっちゃ嬉しいです。私もそうなんですけど、聴いてくれた人が……そう思えていなくても、口にしたことで「なんか、いけるっしょ」という気持ちになってくれたらいいなと思って書いたので。まさしくそう感じてもらえるのは、嬉しいですね。
――音楽と「出会えてよかった」
こもり校長:『音楽なんかなくて生きていけるのに』という歌詞が出てくるじゃないですか。でも僕らは、言ってしまえば音楽で生きている人たちじゃないですか。それを、歌詞に入れるってどういう気持ちなんですか? にしな:う~~~ん、そんなに深い意味を持たずに書いてはいたんですけど。でもあらためて振り返ると……リスナーとしてもきっとそうだし、作る身としても……(音楽は)なくても生きてはいけますよね。でも、だからこそ、くだらなくておもしろいな、みたいな。余白があるというか。「何のために音楽をやっているの?」と聞かれたら、やっぱり自分が楽しいからだし。必要ないことでも楽しいからやっている……くだらなくて出会えてよかった、とすごく思うなと思って書きました。 こもり校長:うん! でも、だからこそ不安になることありません? 僕らは、その余白のなかでやっている部分があると思うんですけど、自己完結できる部分とできない部分があるじゃないですか。 にしな:不安、めちゃくちゃあります。でも、ミュージシャン以外のどんなお仕事についていても、その先どうなるかわからないし。だからこそおもしろいな、と思います。でも、不安になったときに自分が前を向いて進むためには、「みんな不安だし」と思ったり……。ネガティブだと思われがちなんですけど、そのネガが私に自由を……選べる自由を与えてくれている気がします。