チェック機能を果たしていない地方議会、「否決」「修正」ともにほぼゼロ
議会改革に関する実行計画「作成していない」95%
調査では、議会改革に関する実行計画の作成についても尋ねました。「議会基本条例を基に作成」と答えたのが25議会(1.8%)、「議会基本条例とは別に作成」44議会(3.1%)しかなく、95.1%の議会は作成していない、と答えていました(グラフ2)。 また、議会のICT(情報通信技術)化を質問しました。議場にノートパソコンやタブレットを持ち込んで、会議中にインターネット閲覧や資料検索など利用できるかという問いには、「本会議場での利用が可能」は16.0%(このうち3.0%は実績なし)、「利用できない」が約半数の45.8%で、4割弱は取り決めがありませんでした。「委員会での利用」については4分の1弱が「可能」と答えていますが、「利用不可」(36.9%)のほうが多く、こちらも取り決めなしが約4割でした。 このほか、全議員にタブレットやノートパソコンを貸与している議会は約5%にとどまり、「実施予定(タブレット2.5%、ノートパソコン3.5%)」、「検討中(タブレット20.2%、ノートパソコン3.5%)」の答えもありましたが、ほとんどの議会が「検討していない」(タブレット72.0%、ノートパソコン91.0%)状況だとがわかりました。議案資料などの電子化は「実施(7.1%)」と「実施予定(2.6%)」を合わせても1割に届かず、7割以上の議会では検討していません。 同様にテレビ電話を使った遠隔会議を実施しているのは全国2議会(0.1%)のみで、97.9%は「未検討」。賛否をシステムで集計・表示する電子採決を実施しているところは63議会(4.5%)で、こちらも88.2%のところが検討していませんでした。
議会自身が常に最適な組織・ルールに改められるか
中村事務局長は「地方議会が、チェック機能や議決機能を最大限にするためには、いまの議会活動の仕組みやルール、組織を、議会自身が最適なものに常に改められているかという点が重要」といいます。その視点からも、議会のICT化は必須になってきていますが、「AI(人工知能)の時代だが、導入するのであれば、今の組織ではおそらく時代遅れ」とも指摘します。しかし「例えば、東京都の島しょ部の議員も、テレワークの仕組みがあれば、委員会のために何時間もかけて都議会に出てこなくてもいい。時間の無駄や効率悪い、生産性が上がらないところを、議会自身が改めていけるか」。 議会が自らの力で、機能強化に努めることができるのか……。調査結果からは、地方議会が住民のために役立つことを意識した組織づくりを目指しているのか、そしてその運用ルールは、人口減少、少子高齢社会など地域ニーズに応じ、ICT化への対応といった時代の変化に即したものになっているのか、真摯に見つめなおす必要性に迫られています。