<dogS ~ 仲良き事は美しき哉 ~>#4 犬の兄弟に特別な「情」はあるのか?
しかし、人間の兄弟姉妹のように、犬の兄弟が血を分けているがゆえの特別な感情を持っているとは、僕にはあまり感じられない。実家のゴールデン・レトリーバーの『マリー』は、近所に住む兄の『コナン』と確かに仲はいいが、これは血の繋がりというよりも、単に昔からの顔見知りだから、ということであろう。他の相性の良い犬との様子と、差は感じられない。
うちのフレンチ・ブルドッグ『マメ』は、6頭兄弟の下から2番目である。兄弟全員の消息が分かっている珍しいケースで、2歳の時に一度全員で再会した。特別にテンションが上がるようなことはなく、マメは逆にいつもとは違って一歩引いていた。ただ、これは子犬時代もそうだったと育ての親に聞いている。他の5頭はくっついて寝るのに、マメだけが一人で寝ていたらしい。やはり「三つ子の魂」を覚えていたのか。そんな気もするのだ。
■内村コースケ(うちむら・こーすけ) ミャンマー生まれ、カナダ・イギリス育ち。新聞記者・社員カメラマンを経てフリー。写真も撮れて「書ける」フォトジャーナリストとして活躍。2003年に2頭のフレンチ・ブルドッグと暮らし始めてから、犬雑誌でのフォトエッセイの連載やペット関連のフリーペーパーの編集、アイメイト(盲導犬)関連の取材・撮影など、活動の中心が「犬」になっている。【ブログ「写像的空間」】