【高校サッカー】帝京15大会ぶり出場 元監督古沼貞雄氏、教え子率いるチームの躍動願う
「日本一は帝京か、帝京以外か」。選手権6度、総体3度の全国9冠と高校サッカー界で唯一無二の存在感を誇った帝京(東京B)が、帰ってくる。 【一覧】全国高校サッカー選手権 組み合わせ 28日に開幕する第103回全国高校サッカー選手権に15大会ぶりの出場。OBでタレント・実業家のローランド(32)が取材に応じ、聖地国立に京都橘を迎え撃つ開幕戦へエールを送った。チームは、自身が2年で名古屋MF稲垣祥(33)らを擁した09年度以来の選手権参戦。母校の活躍を願った。 ◇ ◇ ◇ 帝京を全国屈指の強豪に育てた元監督の古沼貞雄氏(85)は、教え子が率いる開幕戦を観戦予定だ。05年3月の退任後は遠ざかるが、こっそり駒沢に足を運び都大会を見ていたという。 もともと、箱根駅伝を目指した陸上選手。当初はサッカー部顧問を3、4年で辞めるつもりだったが、やり出したら勝ち負けに夢中になった。習志野の故・西堂就氏らに指導法を学び「サッカーは点を取られないゲーム」との堅守の考えは同氏のアドバイスから生まれた。時にはバスケットボールもヒントに独自の感性でゴール前のダイレクトプレーの練習を取り入れた。 練習試合の相手は、夏以降は大学生や社会人チームが主体。体格や体の強さで勝る相手に勝負ではなく「1本でもうまくパスがつなげるか」「いかに相手の攻撃が防げたか」に重きを置き、実戦を通して選手を鍛えた。70年代にはいち早く海外遠征を取り入れ、83年度には「3羽がらす」を擁した清水東に勝つべく筋トレも導入。頂点に立った。 帝京魂の象徴である黄のユニホームは71年の全国初出場が初披露。元は赤が基調だったが、70年のW杯メキシコ大会でブラジルが優勝し、部員のアイデアから誕生した。「そこから3年ぐらい全国大会だけカナリア色だったんですよ。最初の大会は準決勝で習志野に敗れましたけど」と懐かしそうに、全国での躍動再来を願った。【岩田千代巳】 ○…今年の帝京は、新スタイルで冬の全国に戻ってきた。登録メンバーにはJユース出身者がずらり。川崎Fの下部組織から“移籍”してきたU-18日本代表DF田所莉旺が守備の要だ。エースFW森田晃は身体能力に優れ、貪欲にゴールを狙う。かつてのフィジカル優位ではなくパスワークを重視して都を勝ち抜いた。