【NBA Rakuten解説者インタビュー】宮田知己さん 「NBAの“常識を超えた部分”を味わってほしい」
八村選手は昨季からプレイの質が上がっている
――宮田さんも通われたゴンザガ大学出身の八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)はいかがでしょうか? 宮田:まだシーズンは始まったばかりですが(注:インタビュー時レイカーズは5試合を消化)、ここまでは文句なしの大活躍ですね。いかにこのシーズンにかけていたのかというのが伝わるようでした。レイカーズはヘッドコーチが変わりましたけど、塁さんのプレイスタイルは大きく変わってないです。ただ、これまで通りペイント内でのフィジカルな攻撃やミッドレンジや3ポイントが見られるなか、その質が1、2段階アップしているなと感じています。コンテストされた状態でのシュートが、昨季は49/115、42.6%だったんですね。それが今日時点では、まだ9本しか打っていないとはいえ6本決めています。もちろんデータとしては少ないですが、開幕からタフな状況でもシュート決めきれているのは進化している証拠と思っています。 それに3ポイントのショットセレクションがいいですよね。昨季は98/232で42.2%でした。そのうちプルアップ(ドリブル)から打ったのはわずか4本。つまり、ほぼすべてリズム良くパスを受けた後のシュートのみ選択しています。一般的にはその方が確率はいいとされています。ただ今はコンテストされても打って決めているし、1対1を仕掛けたりパスを返したりといい判断ができている。そういうクレバーさも、JJ・レディックHC(ヘッドコーチ)にとって重要な戦力になっているんじゃないでしょうか。 ――今季注目しているチームは? 宮田:ウェストはマーベリックス、イーストはセルティックスです。マーベリックスは昨季までルカ・ドンチッチがボールを持った時、早めにダブルチームを仕掛けて他のシューターに3ポイントを打たせるという場面が多かったのですが、今季はクレイ・トンプソンが加わりました。歴代屈指のシューターである彼の存在によって、これまでのようにドンチッチへ簡単にダブルチームへ行けなくなってくると思うんです。もちろんトンプソンの調子次第ではありますが、カイリー・アービングを含めたビッグ3は相手にとって脅威となりそうです。 昨季王者セルティックスは、ここからどんな変化をしていくのかが楽しみです。2018年のウォリアーズ以降、NBAで連覇したチームはいません。さながら教科書のようなバスケットボールを展開しているセルティックスが再び頂点に立つためにどうするのか、という点に注目しています。 ジョー・マズーラHCは本当面白いことを仕掛けてきますからね。いい意味でバグっている (笑)。スペーシングの使い方とか、セルティックスから学ぶことは多いです。そうした点を含めて、何か新しいものを見せてくれるんじゃないかっていう期待があります。