円買い介入資金賄うための米国債売りは大海の一滴、利回りは変動せず
(ブルームバーグ): 日本の円買い介入資金を調達するための米国債売却は、市場で容易に吸収される可能性が高い。
為替トレーダーは財務省による円買い介入を警戒している。10日に発表される米国のインフレ指標を前に、円は1ドル=152円近辺で推移しているからだ。介入は他の通貨にも影響を与える可能性があるが、債券トレーダーは財務省が必要なドル資金を調達するために米国債を売却するかどうかに注目している。
というのも、日本が前回円買い介入を行った2022年9月と10月に、外貨準備のうち有価証券が他と比べて大きく減少したからだ。これは介入のために売られたドルを米国債の売却で調達したことを示している。
日本は22年10月21日だけで5兆6200億円(370億ドル)相当のドルを売った。米証券業金融市場協会(SIFMA)のデータによれば、仮に今同じ額の米国短期証券と米短中期債を売ったとすると、売却額はこれらの1日の平均取引高のわずか7.2%だ。財務省はまた、1550億ドルに上る外貨預金を活用するかもしれない。
介入が行われても、「日本が介入資金を調達するための持ち高売却が米金利を動かすことはないだろう」と、ファイブスター投信投資顧問の下村英生シニアポートフォリオマネジャーはみる。「円の独歩安になっていない現状では、円安を反転させるような大規模な介入を行うとは考えられない。売るとしても短期証券が最初で、長いゾーンの米国債を大規模に売るというシナリオは考えにくい」と述べた。
日本が円買い介入の場合、米国債売却が必要になる可能性も-シティ
外貨準備では通常、年限の短い債券に投資する。財務省は保有債券の満期内訳を公表していないが、スイスの外貨準備の投資期間は4.7年、オーストラリア準備銀行は保有する米ドルのデュレーションを6カ月としている。
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Masaki Kondo, Yumi Teso