マンガ好きブックライターや書店員5名が推薦! 人生の一冊、いま、読むべきあの作品とは?
南川祐一郎さん[DMMブックス 営業マネージャー]
Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は? ●『こういうのがいい』双龍/集英社 したいときに、したいことを、したい人と。これはセフレではない、フリ(ーダム)フレ(ンド)。新感覚・観察型リアルシチュエーション・ストーリー。 「人間の付き合いのカタチについて、なぜかみんなしっかりと定義をしたがると思うのですが、結局それは第三者にしか関係がなく、付き合っている当人の間でお互い満たされているならどうだっていいじゃんというのをコミカルに、でもとてもリアルに描いてくれる素敵な作品です」 ●『作りたい女と食べたい女』ゆざきさかおみ/KADOKAWA 「社会において普通だとか常識だとかという言葉で固められた枠組みを作ってしまうことは、その中にいられない枠外の存在も同時に勝手に作ってしまうのだということ、そしてそれがたくさんの痛みや苦しみを生み出してしまうのだということをとても丁寧に描いている作品。ただ、警鐘を鳴らしたり表現を制限しようとするのではなく、きちんと相手の心に寄り添うことと対話をすること、向き合うことの大切さを教えてくれる優しさに溢れた名作だと思います」 ●『限界煩悩活劇オサム』ゲタバ子/集英社 「この作品はオタク、特にBLの沼にどっぷりと浸かった限界オタクだという方にはあまりの解像度の高さに分かりみが深すぎて確実に刺さると思いますが、そうではない方には一切伝わらない振り切った作品です(笑)。ただ、僕は最高に面白い名作だと思っています」 Q2:人生で影響を受けたマンガは? ●『ブラック・ラグーン』広江礼威/小学館 日本の商社のサラリーマン岡島緑郎は、東南アジアで海賊「ラグーン商会」に誘拐され、彼らに協力することに。悪党たちが繰り広げる、スタイリッシュでハードボイルドなガンアクションマンガ。 「影響を受けた作品はTOP10を選べと言われても悩むくらいたくさんあるのですが、キャラクターのかっこよさ、ご都合主義にならないストーリーの面白さ、表現のスタイリッシュさと、どれも完璧で心を鷲掴みにされました。ハリウッドあたりで大金をかけて是非ドラマ化してほしいですね」 Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は? 「電子書店員なので基本的にスマホですね。夜ふかしの場合は電気を消して、ヘッドホンで音楽を聞きながら読んでいて、よく没頭して時間を忘れます(笑)。最近折りたたみスマホにしたらとても読みやすくなったので電子派の方にはおすすめです」 Q4:いま、特に注目している作品は? ●『13回目の足跡』三部けい/KADOKAWA 「まだ連載が始まったばかりでまったく謎も行先も見えない状態なのですが、『僕だけがいない街』を筆頭に三部先生の作品はどれも名作揃いで大好きなので、今作も更新を楽しみにしています」 Q5:いま、読み返したい名作は? ●『左ききのエレン』原作:かっぴー、作画:nifuni/ナンバーナイン 「社会人になって、早20年が経とうとしていますが、仕事の楽しさもつらさもたくさん経験してきたからこそ、お仕事系マンガとしてこれほど心に刺さる作品はなかったです。年齢や性別の違う人たちに感想を訊くと、それぞれ全然違った視点で面白さを語ってくれるので、エンタメでもありながら読み手の今を映し出す鏡のような名作だと思います」 Q6:とにかく泣きたい夜におすすめの作品は? ●『四月は君の嘘』新川直司/講談社 「ネタバレになってしまうのであまり書けないのが悔しい! ただマンガなのに音楽が聴こえてくるくらいの圧倒的な表現力で描かれる心の魅せ方があまりにも綺麗で、マンガも紙版を数回買い直し、電子版も買い、映画も観て、舞台まで見に行って、全部号泣したくらい。とにかく泣けすぎます」 Q7:期待の新人作家とその作品は? ●『タテの国 外伝 オメガニウム採掘者』田中空/Independently published 「新人と言ってよいのかわかりませんが、初めて『タテの国』を読んだ時に、当時まだ読み慣れていなかったWebtoon形式にもかかわらずストーリー、キャラクター、構成すべて完璧すぎて、いまだにこの作品を超えるWebtoonに出会えていません」 Q8:深夜ひとりでコッソリ読みたい作品は? ●『ENNEAD(エネアド)』原作・作画:Mojito、翻訳:Kim Seonyoung/SEOUL MEDIA COMICS 「エジプト神話をモチーフにした作品ということで、最初は興味本位でなんとなく読み始めたのですが、キャラクターがみんな魅力的すぎて、あっという間に最新話までイッキに読んでしまいました。BLなので濃厚な絡みも見どころです」 南川祐一郎(みなみかわ・ゆういちろう)さん DMMブックス 営業マネージャー 虎の穴、Village Vanguard、ドワンゴ(ニコニコ静画・読書メーター)を経て、DMM.comへ入社。現在DMMブックスの営業マネージャーを務める。