上沢直之という夢の終わり。思いを断ち、打ち崩す【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#239】
エスコンで待つ
その上沢直之がソフトバンク移籍を決めた。決めたらしいのだ。ホークスから正式なリリースが出た。それについてSNSは大荒れになっている。ポスティングでいったん米球界を経由して、自由契約で国内移籍するのはフェアといえるのか。それは制度の抜け穴ではないか。ルールは犯していないとしても、今後は見直すべきだ。いや、そんなことは上沢本人やソフトバンク球団へ向ける話ではなく、NPBのルール上の取り決めなり、ポスティングを認めた日本ハム球団へ向けるべきじゃないか。他人のビジネスをとやかく言うもんじゃないetc. 申し訳ないけど、その話題がぜんぜん飲み込めなかった。頭を素通りしてしまう。僕は怒りのポストを投稿するSNSアカウントのようには感情のスイッチを入れられなかった。それはルール云々(うんぬん)ということではない。上沢と縁が繋がってると思っていた。上沢本人とハム、ソフバン両球団の契約交渉の機微はわからない。わからないけれど、疲労骨折しているという右ヒジのために、もういっぺん観音様に願をかけてコーヒー断ちしてもいいなと思っていた。それは感傷なんだろう。ナーバスな甘ちゃんなのだろう。 だけど上沢直之、君は確かに僕たちファンの夢だったんだよ。近藤健介は九州に行ってしまったけど、アメリカから帰ったら、もしかして松本剛と2人、投打のキーマンで今度こそ日本一の歓喜の輪におさまるかもしれない。ソフトバンク球団が移籍決定のリリースを出すまで、僕はあらゆる新聞辞令に取り合わなかった。縁が続いていると思ってたんだ。 ホントはこの話題は避けたかった。真正面から向き合うと凹むからだ。今も凹みながらPCに向かっている。だが、避けるわけにいかない。思いを切断しなけりゃならない。伊藤大海が気持ちを込めて言ってくれた。 「僕のホーム開幕戦に来るんじゃないですか。志願してでも来るんだろうな、と僕は思っていますね。それぐらいはしてくれないと、ファイターズファンも納得いかないかなと」 感傷は来年には持ち越さない。ファイターズは打つだけ。打ち崩すだけ。君はもう夢じゃなくて、相手チームのピッチャーだ。上沢直之という夢を終わらせる。早くケガを治せ。エスコンでお待ちしている。 えのきどいちろう