ノーベル賞「生理学・医学賞」2018年は誰の手に? 日本科学未来館が予想
では、mTORが常に働く状態になってしまうと、いったい何が起こるのでしょうか。その答えは、細胞は栄養の量に関係なくどんどん増殖する「がん細胞」に変化してしまうのです。また、現在注目されているのが寿命との関わりです。最近、年をとったマウスのmTORの働きを抑えると寿命が延びたという驚きの研究結果が出て、なぜそんなことが起こるのか、その原因を探るため世界中で研究が進められています。 ホール博士、シュライバー博士、サバティーニ博士によってmTORが発見されたことで、細胞がどのような仕組みで増えるのかという、私たちの命の根幹に関わる体の仕組みが分かってきました。mTORの発見から25年が経とうとしていますが、その研究はさらに加熱しています。私たちの未来の医療を変えるかもしれないmTOR。ノーベル賞にふさわしいと思いませんか? ◎予想=科学コミュニケーター・櫛田康晴
10月1日午後6時30分から発表
ここまでで3つの予想を紹介しましたが、いかがでしょうか。どれもノーベル賞に値する素晴らしい研究だと思いませんか。今回紹介した研究については、日本科学未来館の科学コミュニケーターブログでより詳しく解説しています。世の中には素晴らしい研究がまだまだあります。ノーベル賞をきっかけに、ほかのさまざまな研究にも興味を持っていただけたらと思います。 ノーベル生理学・医学賞は10月1日午後6時30分(日本時間)から発表されます。どの研究テーマが受賞するのか、ご注目ください。
◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 毛利亮子(もうり・あきこ) 1975年、福岡県生まれ。専門は生命科学。遺伝子と行動との関係を明らかにするべく研究に没頭。子育てを機に、科学と社会をつなぐ人になりたい!と、科学コミュニケーションの世界に飛び込む。2016年より現職