Tシャツで夏乗り切って 5日、輪島・町野で200枚配布 マラソン大会でもらった未使用品
●地元出身・中村さん呼び掛け 金沢市内の陸上愛好者でつくる「ジュピターランニングクラブ」が5日、能登半島地震で被災した輪島市町野地区の住民に約200枚のランニングTシャツを配布する。町野町出身のメンバー中村明美さん(59)=大桑2丁目=が仲間に呼び掛け、金沢マラソンなど全国の大会に出場した際に参加賞としてもらった未使用品を集めた。機能性に優れた「快適シャツ」で暑い夏を乗り切ってもらう。 中村さんは町野町の実家に帰省している時に地震に遭った。88歳の母親は金沢の自宅に避難させたが、地元に戻りたいと7月から町野で一人で暮らしており、姉と協力して週に一度、様子を見に帰っている。 7月下旬、町野で暑さと闘いながら家の片付けや畑仕事に従事する住民たちから「Tシャツが欲しい」との声を聞いた。ランニングTシャツは軽くて吸水・速乾性があるものの、全国各地のマラソン大会でもらっても、使用しないランナーも多いことから、新品同様のものを集めて町野に届けることにした。 ジュピターの練習会では、メンバーが金沢マラソンを中心に色とりどりの大会Tシャツやタオルを次々と寄せた。「いつもそばにいるよ」「石川県人、一緒に頑張りましょう」などと書いたカードとともに、中村さんらが5日に町野町第1団地の特設会場で配布する予定だ。 波田樹雄さん(64)は「きっとTシャツも喜んでいる。能登のにぎわいが戻ってほしい」と話した。武岡秀樹コーチ(54)は「笑顔が一番。チャレンジ、スマイルで困難を乗り越えられる」とエールを送った。 コロナ前まで元日に行われた町野耐寒ロードレース(北國新聞社後援)に何度も出場した山寺信昭さん(64)は「復活したら走りに行く」と誓った。 10月27日の金沢マラソンに出場する中村さんは、Tシャツで住民に大会を身近に感じてほしいという。被災者の孤立化が懸念される中、「話題の種になればと思う。住民で力を合わせるきっかけにしてほしい」と強調した。