福島駅東口再開発ビル、事業費微減550~580億円 福島市負担は当初比60~80億円増見込み
規模縮小の方針が示されている福島市のJR福島駅東口駅前再開発ビルについて、総事業費は550億~580億円になる見通しとなった。資材高騰などのあおりを受け、当初想定していた492億円から589億円に膨らみ、費用の削減を検討してきた。しかし高騰の影響は収まらず、下げ幅は小規模にとどまった。市の財政負担は当初の想定から60億~80億円多くなる見込み。今後、市民の理解を得られるのかが焦点となる。 市と再開発組合が29日、市議会全員協議会で明らかにした。再開発ビルの総事業費の推移は【グラフ】の通り。近年に他の都市で整備されたビルの単価やその後の単価上昇分、再開発ビルの床面積などを考慮し、新たな総事業費を試算した。工事費は当初の想定とほぼ変わらず、その他の経費として旧ビル解体に伴うアスベスト対応などが増えた。 市は再開発ビルの概要や総事業費を通年議会6月会議に諮り、議論する見通し。 総事業費のうち、市はコンベンションホールを設ける方針の「公共棟」を取得する費用として、約250億~270億円の財政負担が発生するとみている。市は有利な地方債活用などで費用軽減を目指す考えだが、再開発事業に対する補助金交付なども担うため、負担は今後も増える可能性がある。
市と再開発組合は29日、有識者や市民でつくるまちづくり検討会、タウンミーティングなどの意見を踏まえたビルの活用方針を提示した。コンベンションホールや横町型飲食店街、オフィスなどを設け、飲食店街などが入る「権利者棟」は当初の12階建てから10階程度に縮小するとした。年間の経済効果を約40億~50億円と試算した。 市と組合は当初、商業施設やコンベンションホール、ホテル、オフィスなどが入居する12階建ての複合棟、大型立体駐車場、13階建ての住宅棟の整備を計画し、総事業費を492億円と見込んだ。 その後、不安定な国際情勢などを背景とした資材高騰や人件費上昇など総事業費が増大。規模縮小や複合棟の分棟化など計画の見直しを進めてきた。 ■「理解得られない」「事業やめる考えは」 市議から批判相次ぐ 全員協議会 全員協議会に出席した市議からは、市の財政負担が増大したことに対し、批判の声が上がった。