離脱者続出と暑い夏、プレスが命の町田には厳しい季節…この先続く上位対戦、いけるところまで行ってほしい
【大塚浩雄のC級蹴球講座】 ◇22日 J1リーグ第19節 町田0―0福岡(町田Gスタジアム) ここまで快進撃を続けてきた町田が、このまま上位争いを繰り広げられるかどうかの正念場を迎える。 ナイトゲームの鹿島と浦和が引き分け、町田は鹿島に勝ち点2差をつけて首位をキープしたまま前半戦を終えた。ただ、この日の福岡戦は低調で、スコアレスドロー。前節、横浜M戦であれほど素晴らしい戦いを見せた町田が、ホームで無得点のまま終わったのは今季初。福岡の5バックを崩しきれず、放ったシュートはわずか7本。後半は2本しかシュートを打てなかった。ナ・サンホ、オ・セフンの韓国コンビの戦列離脱が、大きく影を落としている。 町田の黒田監督は「きょうは守備の硬い福岡さんとの対戦で、5バックをどうこじ開けるかということで悪戦苦闘した。チャンスは何度かあったが、最後のクオリティーがひとつ付いてこなかった」と振り返った。 正直言って、退屈な試合だった。両チームともリスクをおかさず、中盤を省略して前線にロングボールを放り込む戦い方に終始。町田は堅い守りからボールを奪ったらシンプルに前線にボールを入れ、オ・セフンが高さを生かして相手ゴールに襲いかかる。ところがそのオ・セフンはけがでベンチにも入っていない。藤尾の高さでは物足りないし、エリキも突破力を生かしてくれる中盤のパッサーがいないと持ち味が出ない。 福岡は5―4―1のブロックでガッチリ守りを固め、ボールを奪うと中盤を省略して前線に放り込んできた。町田以上にリスクを回避したサッカーだ。ボールをつないでくれば町田の前線からのプレスも効くのだが、町田同様、中盤を省略するから、プレスもかからない。 かといって、町田の中盤のキーマン、ナ・サンホもけがで戦列を離脱しているため、サイドアタッカー・平河のスピードを生かす選手がいない。この日は福岡の小田にきっちりと抑えられ、持ち味のドリブルを消されてしまった。オ・セフンの高さも平河のスピードも生かせなくなると、町田のパワーサッカーもその威力が半減してしまう。 さらにこの日、右サイドバックの新人、望月も右足首を痛め、途中交代した。右足をつけないほど痛めており、次戦の出場は厳しそうだ。ここにきてけが人が続出。夏場を迎え、豊富な運動量を生かした前線、中盤のプレスが命の町田にとっては、厳しい季節となってくる。 黒田監督は「J1初参戦で、選手たちの奮闘、成長が著しく、ここまで首位争いをしているということに驚きを隠せないこともある。予想外ではあるが、このままブレずにやっていきたい。最後まで走りきれるチームを作っていきたい。J1、1年目。いま目の前にある一戦を必死に戦いたい」と前半戦を振り返りつつ、今後の戦いについて口にした。 後半戦の初戦は中3日でアウェー神戸戦。2戦目はまた中3日でアウェーG大阪戦。神戸は4位、G大阪は3位と上位チームとのアウェー戦が続く。前半戦を大いに盛り上げてきた町田。その戦いぶりについてはいろいろ言われるが、ここまできたら後半戦も頑張っていけるところまで行ってほしいという気がしてきた。そのためにも次の2試合が重要になる。 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)
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