清水希容が引退会見「対人競技だったら辞めていたかも」 特別演武「世界一美しい形」で競技生活に別れ/空手
日本実業団空手道連盟第4回西日本地区大会(19日、兵庫・尼崎市記念公園ベイコム総合体育館)2021年東京五輪の空手女子形で銀メダルを獲得し、13日に現役引退を発表した清水希容(30)=ミキハウス=が、特別演武を披露して競技生活に別れを告げた。会見では近年悩まされてきた両膝の痛みにより第一線から退く決断を下したことを明かした。今後は指導者の道を歩み、空手の普及にも取り組んでいく。 会場が静まり返る。観客の視線を一身に浴び、清水が競技者として最後の特別演武に臨んだ。鬼気迫る表情で鋭く拳を突き出し、「世界一美しい」と評される形を披露。演武後はすがすがしい表情で現役生活に別れを告げた。 「感謝を込めた。緊張感のほうが勝ってしまって、うまくいかないところもあったんですけど、それも自分らしいな、常に課題があるのは自分らしいなと思った」 引退を決断したのは今年4月。近年悩まされてきた両膝の痛みの影響だ。日常生活にも支障が出るほどで「昨年の頭には歩くのもしんどいくらい悪化してしまった」。休養を経て復帰することも検討したが「競技者ではなくて、空手家としてしっかり稽古に打ち込む方向にいこう」と決めた。 2013年の全日本空手道選手権で優勝。そこから7連覇を飾り、空手が五輪種目に初採用された21年の東京五輪では銀メダルに輝くなど、日本の空手界を牽引(けんいん)してきた。組手ではなく、形を選んだことには「良かったとしか思っていません。形は一人で稽古して追求していかないといけないが、その難しさが楽しいと思えた。対人競技だったら辞めていたかもしれない」と笑った。 「これまでの経験を後世に伝えていけるように。空手家として稽古に励んで、コーチの勉強もして、動ける指導者、技術をしっかり見せられる指導者になりたい。日本、世界と広く空手をより広げていけるようにしていきたい」 笑顔で指導者として歩み出す決意語った空手界のヒロインは、これからも理想を追求し続ける。(西垣戸理大) ★得意な演武でファンを魅了