知り合いのセールススタッフを紹介……は諸刃の剣! 新車購入の大幅値引きを引き出す「紹介購入」の上手な使い方
友人からの紹介は値引きアップの頼みの綱になる?
諸物価高騰もあり、新車購入商談における値引きも以前に比べると渋い傾向が目立ってきている。とくに国内販売トップシェアを誇るトヨタは、ブランニュー(新規投入車)やフルモデルチェンジ車両を中心に原則として「値引きゼロ」もしくは「値引き数万円」となっているようなので、国内販売トップのトヨタの流れを受け、トヨタ以外のメーカーでも以前のような大幅値引き額を引き出すのは難しくなっている。 【画像】話題のランクル70はほとんどの場合「リース販売」のみ!? そもそもここ最近は値引き拡大では、下取り査定額に値引きアップ分を上乗せするのがカギとなっていたのだが、新車販売はおろか、部材費や工賃アップによりメンテナンス部門でも収益がなかなか見込めなくなった新車ディーラーが、中古車販売を重視するようになったので、下取り査定額も厳しく管理されるようになり、以前ほどの上乗せが期待できなくなっている。 そのなかで値引きアップのための頼みの綱ともいえるのが、知り合いのセールススタッフを紹介してもらっう紹介販売である。ただし、これも諸刃の剣ともいえ、使い方次第では値引き拡大に有効なツールとはならなくなることもある。 まず基本的に、最初は自分だけで動いて商談を進めること。正面突破ではないが普通にセールススタッフと商談を行い、ある程度値引きも含んだ購入条件を引き出してからセールススタッフを紹介してもらうようにしよう。つまり、購入希望車の実売相場というものをある程度知っておくことが大事である。 事前に自分だけで商談を進めずに職場の先輩や上司から紹介してもらうのはできるだけ避けるようにしよう。紹介されたセールススタッフと商談した結果、満足のいく購入条件ではなくても、その後の人間関係もあるので購入せざるをえなくなるからである。
切り札を切り札として使えるように事前準備は大事
友人がセールススタッフという流れで紹介してもらうのもあまり有効ではない。紹介者とセールスマンが友人関係ということは、当該本人(購入者)とセールススタッフは「友だちの友だち」的な関係となり、関係性が薄すぎるとして値引きアップにはあまり効果が期待できないことが多い。購入当事者とセールススタッフが友人関係となると、「友だちだからこそ、値引きをあまりしないで買ってもらうように協力してもらえ」と指示する上司もいると聞く。 「自分が今回新車を買ったセールススタッフを紹介する」とご近所さんや、ママ友ネットワークなどを活用した紹介でも、見た目は買い得そうに見えるが、実際はたいして値引きが増えていない条件でまとめられることが多い。これが、数十年乗り換えを繰り返しているセールススタッフを紹介してもらうとなると状況は変わる。1度や2度ぐらい新車を購入してもらった間柄のお客に比べると、完全にセールススタッフと紹介者の間で人間関係重視の間柄ができあがっているので、上司の判断も「お得意様からの紹介」となり変わってくるからだ。 最初からセールススタッフを紹介してもらうとその効果は薄いが、あらかじめ自分だけで商談を進め、ある程度購入条件を引き出し、それを参考に希望購入予算を絞り込んでから「じつは……」とセールススタッフを紹介してもらうとその効果はかなりアップする。 「すでに自分で動いてみたのですが……」と、商談で引き出した購入条件を提示すれば、紹介されたセールススタッフは「あとどれぐらいになればいいですか?」と、客観的な条件をベースに商談が進むので、ベースの購入条件へ「いくら上乗せ」するかを交渉することになるからだ。こうなると、セールススタッフとしては、「紹介してもらったのだからぜひ買ってもらわねば」ということで、やや追い込まれたなかで商談を進めることになるので、希望予算をクリアして新車を買うことができる可能性が高い。最後の切り札が、セールススタッフの紹介となるのである。 それまで商談していたセールススタッフについては申し訳ないところもあるが、「知り合いから別のセールススタッフを紹介された」と断ればまず揉めることはないだろう。 いまの時代、対面販売は面倒なことは多いが、その対面販売をフル活用するような「紹介購入」は、使い方次第でまだまだ希望予算クリアのための有効なツールとなっているのである。
小林敦志