函館どつくの主力新造船、優れた燃費性能など注目
函館どつく(市弁天町、服部誠社長)の主力新造船「HIGH BULK40SE(ハイバルクヨンマルエスイー)」が今年度の道新技術・新製品開発賞の大賞に選ばれ、その優れた燃費性能や二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果などに注目が集まっている。同社は2027年までに10隻の契約を獲得しており、来年秋には1隻目のデビューを予定している。
同船は歴代モデルの伝統を受け継ぎつつ、親会社の名村造船所(本社・大阪市)と共同で開発した最新のバルクキャリア(ばら積み貨物船)。2025年1月1日以降の契約船に義務付けられている燃費規制「EEDIフェーズ3」を先行して達成したほか、海洋汚染防止条約によるNOx排出規制にも適合するなど、従来モデルよりさらに環境に配慮した仕様となっている。 このほか主な特徴として、全長を従来モデルの183メートルから180メートルに短くしたことで、これまで入港できなかった港にも入れるようになった。また貨物積載量が5・3%向上し、4基のデッキクレーンを装備することで、荷役設備がない港湾でも荷役作業を行うことができる。さらに燃料油タンクのレイアウトを船底からデッキ下に変更することで、万が一座礁した際の海洋への油流出リスクを低減した。 特に優れた点として、省エネルギーフィンを搭載することで、推進性能の向上とともに燃料消費量の削減を可能とし、CO2排出量20%削減を実現。積載量4万トンクラスの貨物船としては世界トップレベルの燃費水準に到達した。今後ゼロカーボンへの貢献が期待されるとして、ゼロカーボン特別賞にも選ばれた。 津上由紀夫船舶設計部長は「海運業界では2050年までにゼロカーボン達成を目標に掲げている。造船における『函館ブランド』は世界的にも高い評価を得ており、引き続き技術の向上に向け取り組んでいきたい」と話している。
函館新聞デジタル