あまたの数学者が挑戦した「素数」の個数の求め方…恐ろしく悠長に思えるけれど、じつは効率の良い、2200年前の「ふるいにかける」方法
数は形と深く関わる
三角数というのは、図の上「三角数とは」のように小石を三角形に並べたものです。 一般に1+2+3+…+n=n (n+1)/2を三角数と呼んだのです。 4段積みの三角数の場合は、それを二つ、図の下「4段積みの三角数の場合」のように合わせることで、 四辺形の石の個数=4×(4 + 1) =(4段積みの三角数)×2 4段積みの三角数=1+2+3+4 = {4×(4+1)}÷2=10 このようにして1+2+3+…+n=n (n+1)/2という公式を導くことができます。数は形と深く関わっていると考えたのです。 長方形に並べることの可否から、素数と合成数の2種類に数を分類できることを発見したというのも頷けます。 小石で遊ぶのを侮ってはいけません。
無限個ある素数の数え方
このように数の性質を理論的に追究したのはピタゴラス学派の人が最初のようで、それがユークリッドの『原論』にまとめられているのです(『原論』の第7巻~第9巻)。 *註:素数の概念はすでに紀元前2600年頃~紀元前2000年頃のシュメール人の時代に存在したとのことです(室井和男著 中村滋コーディネーター『シュメール人の数学』 共立出版 2017 pp.20-23)。 ところで、素数は10000まででは1229個あります。 実は、その個数は無限個なのです。上に述べた『原論』の中で証明がなされています。 現代流に述べると次のようになります。 「素数が有限個だった」と仮定して矛盾に導く方法です。 いま有限個(n個とします)の素数をp1, p2, p3, ···, pnとします。 その積p1p2p3 ··· pnより一つ大きい数Mを考えます。つまり、M=p1p2p3···pn+1 です。 ところが、このときMは素数だとすると矛盾です。 もし、Mが素数でないとすると合成数なので、1と自分以外に約数を持つことになります。合成数は必ずある素数で割り切れることがわかります。ところが、素数は上記のn個しかないのですが、どれで割っても1余ります。ということは、どの素数でも割り切れないことになります。これはMが合成数であることに反しますので、新しい素数しかありえないということです。 つまり、素数がn個だと仮定するとそれらとは異なった新しい素数が存在することになりますので、これは矛盾です。こうして素数は無限個あることになるのです。 素数は無限にあるのですべてを探すことはできませんが、素数を探してみたいという思いに駆られます。 現在はコンピューターがあるので探す手段がありますが、残念ながら素数を探すうまい方法があるわけではありません。
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