決勝戦で連敗…ノーサイン決断「これだ」 選手を激変させた“教え過ぎ指導”の脱却
富山・比美乃江稲積JBOYSの東軒宏彰監督「選手を見守って指導者も楽しむ」
ガミガミ叱っても、子ども能力を引き出せない。富山の少年野球チーム、「比美乃江稲積(ひみのえいなづみ)JBOYS」の東軒宏彰監督は、選手たちが考える時間をつくり、自主性を育む指導方針に転換してからチームが県大会決勝の壁を越えられるようになったと話す。First-Pitchでは、全国の気になる学童チームの“選手を育てる秘訣”に着目。同チームでは、野球の楽しさを伝える指導に重点を置き、近年は小学3年生以下を対象にしたティーボールの部を無料で運営している。 【動画】僅か1時間で子どもたちの動きが“激変”…保護者も驚く強豪監督の指導 東軒監督は少年野球チームを指揮して18年目となる。昨年は“小学生の甲子園”と呼ばれる「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に出場し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会が中止となった2020年も富山県代表として出場切符をつかんでいる。他の大会でも、コンスタントに県の頂点に立つチーム力をつけているが、8年ほど前までは決勝で何度も涙をのんできたという。最初の10年間の自身の指導を、東軒監督はこう振り返る。 「選手にガミガミ言っていました。1から10まで指導者が教えていましたね。ただ、その指導では選手が成長しないと気付きました。練習や試合で成功や失敗について話し合い、どうしたら次は上手くいくのか選手同士で考える時間をつくりました」 ある日の練習試合、東軒監督は選手にサインを出すのをやめた。すると、選手たちは試合中や試合後に自然と話し合うようになった。「これだ!」。東軒監督のモヤモヤは晴れた。大会でもあらゆるサインを出すのではなく、選手たちに任せる場面を増やしていった。その結果、準優勝が多かった県大会で頂点に立った。指揮官が語る。 「子どもたちの考える力や自主性が大事と指導者も納得しました。そこから、ガミガミ言うのをやめました。選手たちは試合で得点すると今まで以上に喜び、勝利すると笑顔が増えました。選手を見守って指導者が楽しむことも大事だと強く感じました」