ガソリン高、稼ぎ時直撃 19日から国の補助金減額 石川、富山の交通、運送業 年末年始「今は痛い」
政府が石油元売り会社に支給しているガソリン補助金を19日に減額することを受け、石川、富山の交通、運送事業者から悲鳴が上がっている。忘新年会やクリスマスケーキ、おせちの配送など、年末年始は稼ぎ時なだけに「今の時期は本当に痛い」とぼやきが漏れる。各社は効率的な配送ルートの選定や、省エネ運転の実践など対策を講じる。 経済産業省は18日、石油元売り会社への補助金が、19日から1リットル当たり2円20銭減の12円70銭になると発表した。現状175円程度の店頭小売価格は今後5円程度値上がりする見通しだ。小売価格は今後2~3週間かけて180円に、2月中旬ごろには185円に向かうとみられる。 大和タクシー(金沢市)の担当者は「当然、相当の痛手となる」とため息をつく。12月は飲み会需要で、他の月と比べて15%ほど走行距離が増えるため、燃料価格もかさむという。 同社が所有する車両約150台のうちガソリン車(ハイブリッド車)は約3割。LPガス車や電気自動車もあるが、どの燃料も価格は上昇傾向と苦しい状況だ。担当者は「社員に無駄な走行をなくすことや、休む時はエンジンを止めることを呼び掛けるしかない」と話した。 「価格の上昇は仕方がない。企業努力で対応していく」と語るのは冨士タクシー(同市)の担当者。導入している配車アプリを活用して流し営業や空車の時間を減らし、無駄な燃料の削減に努めている。 ●荷待ち削減で対応 ビーイングホールディングス(同市)は配送コースや積み込み、荷降ろしの作業工程の見直しを進めている。トラックを倉庫に接車しておくスペース「トラックバース」の予約システムを導入しており、荷待ち時間を減らすことで、燃料消費を抑える。 担当者によると、12月はクリスマスや正月の準備を控え、1年で最も物流量が増えるといい、「コストが増加する分、他の部分をコントロールして、配送単価が上がらないようにしたい」と意気込んだ。 トナミ運輸(高岡市)は、急発進や急ブレーキの抑制、アイドリングストップなどを改めてドライバーに呼び掛けた。同社は数千台のトラックで各地に配送しており、担当者は「値上げに伴う経費の増加は想像ができない。1日数百万も考えられる」と身構える。 トラックには衛星利用測位システム(GPS)が搭載され、効率的なルートは常に指示している。担当者は「やれる対策は既にやっている。補助金の削減は受け入れたくないが、どうしようもない」と話した。 ●石川は178円に上昇 経済産業省が18日発表した16日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの都道府県別の平均小売価格は、石川が前週調査と比べて90銭高い178円、富山は20銭低い176円60銭だった。 全国平均は10銭高い175円80銭と、7月中旬以来、約5カ月ぶりの高値となった。原油の輸入価格は下落傾向にあるが、19日からの政府の補助金縮小を見越し、販売価格に反映する動きがあったためとみられる。 価格を調査した石油情報センターの担当者は、来週の見通しについて「値上がりを予想するが、在庫の関係などで補助の縮小が小売価格に影響するのに時差がある」と説明。来年1月半ばごろにかけて徐々に値上がりするという。 石川のハイオクガソリンは前週から1円増の188円40銭、軽油は80銭増の156円30銭、灯油は18リットル(一般的なタンク1個)当たり20円増の2117円だった。