「スパロボ」を色々な意味で変えた「規格外のヤツら」 どうゲームに落とし込んだのか
破壊されたら即ゲームオーバー? 厳しすぎる原作再現ロボ
『F完結編』のもうひとつのバッドエンドは、ゲームオリジナルキャラの「メキボス」と戦う選択肢を選ぶことで発生するものでした。この選択によって、戦いは永久に続くという形になります。普通にプレイすれば戦うという選択肢は選ばないはずなので、気づかなかった人もいるかもしれません。 そして『F完結編』の3つ目のバッドエンドが、通称「イデオンエンド」といわれるものです。その名の通り、『新世紀エヴァンゲリオン』と同じく『F完結編』で初めて参戦した『伝説巨神イデオン』によるバッドエンドでした。 『伝説巨神イデオン』は、その衝撃的な結末が印象的な作品です。「スパロボ」での参戦を望むファンも多くいましたが、同時にバッドエンド確定のストーリーをどう組み込むのかが問題でした。また、無数の敵相手でも無双するほどの主役ロボ「イデオン」の強さを、ゲームにどうやって落とし込むのかも難しかったわけです。 そのようなイデオンをゲーム的に再現したのが、通称「イデシステム」でした。ダメージを受けることなどで徐々に謎の力「イデ」が発動していき、イデオンの能力がアップしていくというものです。これによって使用可能になる「イデオンソード」や「イデオンガン」は射程∞、攻撃力表記9999という、ゲームシステム的に破格の武器でした。 これらだけを見れば、使い勝手がよく思えるかもしれません。しかし、この状態から強制的にバッドエンドとなる可能性を秘めています。しかもエヴァ初号機と違って特定のマップではなく、いつどのマップでもバッドエンドへと進む可能性がありました。それが前述の「イデオンエンド」です。 イデゲージが一定値以上になるか撃墜されてしまうと、強制ゲームオーバーともいえるイデオンエンドとなりました。つまり、あまりイデオンの能力を過信して戦うのは諸刃の剣というわけです。 『伝説巨神イデオン』は、作品的には知名度がありながらも、こういった扱いづらさゆえか「スパロボ」の参戦は、このほかには『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』(2005年7月28日発売)と、『スーパーロボット大戦X-Ω』(2015年10月5日配信開始、2021年3月30日終了)だけとなっていました。 もっとも、強制的にゲームオーバーとなったり、バッドエンドになったりするのは何も『伝説巨神イデオン』だけではありません。ほかの作品でも同じようなロボットがありました。 たとえば『スーパーロボット大戦64』(1999年10月29日発売)で初登場した『六神合体ゴッドマーズ』の主役ロボ「ゴッドマーズ」は、一部のファンから「歩く敗北条件」といわれています。なぜならゴッドマーズが撃墜されるとゲームオーバーとなるからでした。 これは原作通り、ゴッドマーズには「反陽子爆弾」が取り付けられていて、撃墜されると問答無用でこれが起動するからです。撃墜されるだけで簡単にゲームオーバーになることから、逆に全滅プレイには好都合だと重宝するプレイヤーもいました。 これらの強制的ゲームオーバーともいえるものは、原典を知っているファンならば回避することはそれほど難しくないでしょう。逆を言えば、原典を知らない人には初見殺しの地雷といえるかもしれません。 このように、原典作品を忠実に再現することで「スパロボ」の結末すら変えた作品やロボットを見ると、もちろん原典通りのバッドエンドも感慨深いのですが、やはり作品を救済したともいえるハッピーエンドを見られることが、「スパロボ」の醍醐味ではないでしょうか。 バンダイナムコエンターテインメント『スーパーロボット大戦30』: (C)天酒之瓢・主婦の友社/ナイツ&マジック製作委員会 (C)CLAMP・ST/講談社・TMS (C)サンライズ (C)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design (C)2006-2017 CLAMP・ST (C)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design (C)2006-2018 CLAMP・ST (C)SEGA (C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS (C)創通・フィールズ/MJP製作委員会 (C)円谷プロ (C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN製作委員会 (C)円谷プロ (C)2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会 (C)東映 (C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会 (C)永井豪・石川賢/ダイナミック企画 (C)1998 永井豪・石川賢/ダイナミック企画・「真ゲッターロボ」製作委員会 (C)2005 AIC・チームダンチェスター/ガンソードパートナーズ
加々美利治