高額療養費制度、厚労省が自己負担の上限引き上げ案を提示…現役世代の負担軽減狙い
厚生労働省は21日午前、医療費が高額になった場合に患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」を巡り、自己負担の上限を引き上げる案を示した。具体的な引き上げ幅は盛り込まず、「一定程度の引き上げ」と明記したほか、年収に応じた区分を細分化する案も検討していく。 【表】一目でわかる…高額療養費制度の見直し方針のポイント
社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会に提示した。厚労省は上限額を引き上げる案を部会で議論し、年末までに結論を得たい考えだ。早ければ2025年夏からの実施を見込むものの、自己負担が増える人から反発も予想される。
高額療養費制度は、1か月あたりの自己負担の上限額を超えた場合に超過額が払い戻される仕組み。70歳以上かどうかや、年収によって区分されており、高齢者や低所得者は低く設定されている。
現行制度は、70歳未満では五つに区分されている。これを細分化して増やすことで、支払い能力に応じた負担を求めたい考えだ。年収が低い区分の引き上げ率を抑制することも検討する。
政府は、全ての世代が負担能力に応じて支え合う社会保障の構築を目指しており、自己負担の上限額を引き上げることで、現役世代の保険料負担を軽減する狙いがある。
厚労省は引き上げの理由として、賃上げなどを通じて世帯収入が増加していることや、物価上昇が続く中、現役世代を中心に負担軽減を求める声が多いことを挙げている。