青野未来 フルタイムの連戦と総当たりリーグ戦を経てホンモノのレスラーに!
「旗揚げしてからも、『この(元アクトレスの)選手、意外とやるじゃん』みたいに受け取られるのもメチャクチャ悔しかったですね」
アクトレスを含む芸能活動を継続しながら、プロレスラーとしてリングに立てる。それが可能ならば、ぜひともそうしたい。しかし事はうまく運ばず、結局はアクトレスガールズを退団することになった。マリーゴールドの旗揚げ会見では、青野をはじめとするアクトレス退団組が乗り込んできた。 とはいえ、離脱は個人の意思で、ほかの選手たちと話して行動をともにしたわけではない。が、このとき新団体マリーゴールドには“元スターダム”と“元アクトレスガールズ”の図式が浮かび上がった。同時に、元アクトレスの代表が青野というイメージができあがったと言っていいだろう。 「みんなで話し合ったわけではないので、元アクトレス内でもおもしろくないと思った選手もいると思います。そんななかで、『アクトレスってお芝居なんでしょ』という目で見られるのもわかっていました。だからこそ、これまでやってきたことをしっかり見せないといけないというプレッシャーというか、すごく気合いが入りましたね」 しかしながら、アクトレスの練習と、プロレス団体の練習では、大きな違いがあった。 「正直、体制が変わってからのアクトレスではメンタルの部分を鍛えるトレーニングってあまりなかったんです。が、プロレスでは真っ先にそれがあって、スタミナつけるための筋トレだったり、しっかり息上げするだったりとか、これがけっこう久々の感じでした」 元アクトレスでプロレス復帰組の青野には久しぶりの感覚で、本格デビューを迎える選手には初めての経験だったかもしれない。それだけに、練習においても元スターダム勢と比較される。そこにはやはり、大きな差があったと言わざるを得ない。 「元スターダムの選手の方が知名度も高いし、そちらを基準に見られてしまうのもすごく悔しかったです。なので、旗揚げしてからも、『この(元アクトレスの)選手、意外とやるじゃん』みたいに受け取られるのもメチャクチャ悔しかったですね」 そもそも、アクトレスには開始当初から偏見の目で見られてきた歴史がある。それが反骨心となり、いまでは主要団体のほとんどで、安納サオリ、なつぽいを筆頭に、元アクトレスの選手たちが中心を担っているのである。 「そうですよね。最初の頃から先輩たちはいろいろ言われていたし、でもそのなかで頑張ってアクトレスをプロレス団体として認めてもらえるところまで持っていったのは、先輩たちのおかげですよね」 マイナスイメージからの脱却を完全なものにするには、元アクトレスの選手がプロレスラーとして認められることにほかならない。そのための闘いが青野に課せられたとも考えられる。一連のMIRAI(元スターダム)との闘いや、シングルリーグ戦「DREAM STAR GP」がそうだろう。 初代ユナイテッド・ナショナル王者を決めるトーナメントにエントリーした青野。しかしMIRAIとはなかなか決着がつけられず、時間切れ引き分けが続いた。通常ならば両者失格となるところ、このトーナメントは再試合となった。15分プラス5分を3度繰り返し、決勝戦の7・13両国国技館までもつれ込んだのである。しかも、ようやく決着をつけた直後に、大怪獣ボジラとの決勝戦。圧倒的不利のなか、青野は1日2試合を制して優勝、UN王座のベルトを巻いた。