8月30日公開!映画「愛に乱暴」 サレ妻・桃子役の主演・江口のりこさんインタビュー|STORY
- 自分の居場所がなくなることに関して、江口さんも共感するような経験をされたことはありますか?40代女性がその状況に陥った時、どうするべきと思いますか?
居場所を奪われるっていうのは、私は経験ないかな。あったものが奪われるというのは、絶対に辛いですよね。奪われたらどうするか……。違うことをするしかないですよね、全部捨ててね。奪われてしまったら、しょうがない。
- 桃子が途中から、振り切った行動に出るようになり、どんどん苦しさが募っていきます。演じた時の江口さんのご感想をお聞かせください。
大体順番に撮ってもらっていて、最初はゴミを捨て、お母さんと少し話をして、夫を送り出してっていう、そういう日常が何日か続く。桃子は他の誰にも会わないわけです。でも撮影中盤になると、石鹸教室で元上司や後輩に会ったり、後半あたりでは、夫の不倫相手に会って。人と会うことによって、桃子の中で物語が動き出す、そうすると桃子の中の感情も大きく動くし、その中で、畳をめくってチェーンソーのシーン。監督がうまく軌道に乗せてくれたなと思います。それが監督の戦略というか、順番に撮って行った方が芝居が乗っていくだろうということで、そういうふうにしてくれたんだと思います。ほとんどのシーンを、ワンシーンワンカットで撮っているんですよ。撮影もフィルムを使っているため、なんテイクも撮れないんです。だから、カメラマンさんの緊張もすごく伝わってくる。その緊張は、全然邪魔にはならず、私にもいい刺激を与えてくれましたね。みんなでそのシーンを作っているって感じがして、本当にいい現場でした。
- ラストシーン。江口さんがこの桃子を演じる時に大切にしたことはなんでしょう?
ラストのあの言葉……それがきっかけで、ああいう状態になったわけだから、絶対に聞き逃しちゃいけない! って思いました。全部振り切って、季節も変わって、設定では秋になって、夏にあった出来事を、ちょっと距離を置いて“あの時の自分を見ている”みたいな感じが出ればいいなと思って演じました。
- 最後に、映画の見どころと、“隠れ桃子”にメッセージを!
見どころかー……とにかく見てほしいですね。私からは、メッセージは特になく、監督はそういうのをお持ちなんでしょうけど、とにかく見てほしい。 アラフォーママたち、もしかしたら、桃子みたいな方もいますか? 自分の居場所探しのために、子どものお受験、夫に尽くすなど……。そういう方達に向けて、ある意味、“桃子”に一言かけるとしたら……ですか? そうですね、映画館に行って、美味しいものを食べて、デパートや街をぶらっとするのはどうでしょう? それだけでも気分が変わると思います。大きなことは言えないですけどね、私。ほんと自分を大切にしてください。それだけです。 【『愛に乱暴』映画情報】 「悪人」「怒り」などで知られる作家・吉田修一の同名小説を映画化し、愛のいびつな衝動と暴走を緊迫感あふれるタッチで描いたヒューマンサスペンス。 徐々に平穏を失っていく主人公・桃子を江口さんが演じ、夫・真守を小泉孝太郎さん、真守の母・照子を風吹ジュンさん、真守の不倫相手・奈央を馬場ふみかさんが演じた。監督は『おじいちゃん、死んじゃったって。』『さんかく窓の外側は夜』の森ガキ侑大氏。8月30日ロードショー。 衣装協力:シャツ¥170,500スカート¥171,600シューズ¥68,200/すべてMame Kurogouchi SHOPLIST:マメ クロゴウチ オンラインストア 撮影/河内彩 ヘア・メーク/鈴木彩 スタイリスト/清水奈緒美 取材/竹永久美子