マクラーレンとホンダは本当に決別するのか? その噂の真相とは
開幕6戦を終えて、なお入賞できないマクラーレン・ホンダ。コンストラクターズ選手権では10チーム中、最下位。これはマクラーレンの長い歴史の中でも初めてという屈辱的な経験だ。 この惨状にマクラーレン側がまた吠えた。マクラーレン・テクノロジー・グループのエグゼクティブ ディレクターを務めるザック・ブラウンが世界的な通信会社であるロイターに対して、カナダGP直前に次のようにコメントしたのだ。 「取締役会は我々に対し、決断を下す権限を与えた。我々はこのような状態で次の年を迎えたくない。ホンダと共にチャンピオンを獲得することが優先事項だが、それが達成可能かどうかを判断しなければならない時期に来ている。そして、我々は深刻な懸念を抱えている」 パワー不足に加え、信頼面でもたびたび問題を起こして来たホンダに対して、マクラーレンはこれまでも何度も批判を繰り返して来た。そのマクラーレンがここに来て再び批判を行った背景には、ホンダの開発が遅々として進まない現状に、マクラーレン側の我慢もついに限界に達したからだと考えられる。 というのも、6月11日に決勝レースが行われたカナダGPはストレート区間が多く、エンジンパワーが重要なサーキット。しかし、ホンダは有効な開発ができなかったため、新しいエンジンの投入を見送った。 「パワーサーキットのカナダで大幅な変化を期待するのは当たり前のこと。そして、そのアップグレートが見送られれば、失望するのも至極当然のことだ。そして、期待していたものが得られなければ、それが本当に手に入れられるのかという疑問につながるのも不思議なことではない。我々は長い間、待っているだけ。我慢は限界に近い」(ブラウン) この結果に失望したのはブラウンだけではない。エースドライバーのフェルナンド・アロンソも、「僕たちはストレートでタイムをロスしている。パワーユニットを除けば僕たちは競争力がある」と言い、さらに今年末で契約が切れるマクラーレン・ホンダとの契約に関して、こう続けた。 「9月までに勝つか、それに近い状況になれば、残るだろう。でも、そうならなかったら、何かを変えなければいけない。ザックが言っていることは、チームのトップとして当然の発言。僕も同じ気持ちだ」 さらにカナダGPの初日にホンダのパワーユニットにトラブルが起きると、ブラウンはその日の夕方に開かれた会見で「我々は既に2018年用マシンの開発を始めている。だから夏休みまでに、来年使用するパワーユニットを決定しなければならない。私達にはプランBもプランCもある」と発言。マクラーレンがホンダと決別する日が近いのではないかという憶測がさらに広まった。 だが、現実はそれほど単純ではない。なぜなら、マクラーレンはホンダと期間は公にされていないが、長期に渡る契約を締結しているからだ。