マクラーレンとホンダは本当に決別するのか? その噂の真相とは
さらにFIAは各コンストラクターに対して、2018年に使用するエンジンの申請をするよう行っており、その締切は今年の5月6日に終わっている。そこでマクラーレンはマクラーレン・ホンダで申請しているのである。つまり、マクラーレンが違約金をホンダに支払って契約を解消したとしても、今度はFIAとライバルチームが黙ってはいないことになる。「マクラーレン・ホンダ」で出した申請を変更する場合、全チームの合意が必要になるからだ。 さらにアロンソにしても、現時点でマクラーレン・ホンダ以外に行き場所がない。メルセデスに今年加入したボッタスはすでに初優勝して才能を披露しているだけでなく、ハミルトンと良好な関係を築いている。いまさらアロンソを獲る必要はない。それはフェラーリも同様で、ベッテルのチームメートにアロンソを入れることは考えにくい。レッドブルはリカルド&フェルスタッペンのコンビで2018年も戦うことは既定路線となっている。つまり、アロンソに残された選択は、トップ3チーム以外で、それはアロンソがホンダに突きつけた「9月までに勝つか、それに近い状況」のチームではない。 つまり、マクラーレンもアロンソも、ホンダと決別できないことを承知で、ホンダを批判しているわけである。では、なぜ批判を続けるのか? そこには2つの狙いがあると考えられる。ひとつは、遅々として進まないホンダの開発にプレッシャーをかけること。もうひとつは、パフォーマンス不足によって失ったスポンサーマネーの見返りをホンダからもらうことだ。 F1は技術競争であると同時に、億単位のお金が動くビジネスの戦いでもある。そのことをきちんと理解した上で、ホンダはパワーユニットの開発だけでなく、イギリスの名門チームであるマクラーレンとネゴシエーションしていかなければならない。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)