大谷翔平に弱点なし…?得点圏打率が上向いた「きっかけ」と「変化」は?
監督の助言が功を奏し…?
ここで、大谷選手が4月17~28日に得点圏で打ったヒットに関する投球をまとめた。 丸数字は投手が投じた投球数だが、5回中3回のケースで5球目以降をヒットにしている。球種別には、5球中3球がフォーシームとなっている。98.2マイル(約158キロ)のインコースのフォーシームは、トロント・ブルージェイズの菊池雄星投手から今季メジャー最速となる打球を打ったコースだ。 これらは、状態が上がったことで、開幕直後に苦戦していた球を捉えられるようになった結果ともいえる。紫の丸は、4月16日に上記コービン投手から得点圏で凡退したコースだが、今季得意の外角高めに近い、90マイル台(約144キロ)前半のシンカーを打ち損じている。 以上から、大谷選手が得点圏でじっくり球を見極めるようになったことが、得点圏打率の向上につながったことを反映している。デーブ・ロバーツ監督のフィードバックをうまく取り入れ結果を出した感じだ。 もっとも、4月25~28日に限った大谷選手の成績は、得点圏で9打数1安打1四球、それ以外で8打数1安打と、いずれも直前に比べ下降傾向にある。今後の変化はこれから1週間の打撃内容にかかり、この記事が出る頃にはその方向性も見えているはずだ。
得点圏でのホームランは…?
大谷選手は、4月28日まで、得点圏で今季まだホームランを打っていない。同日までの7本のホームランは、いずれも得点圏に走者がいない場面で出たものだ。 過去の数字からは、大谷選手が得点圏で極端にホームランを打てなくなる打者ではない。2021年~2023年の得点圏とそれ以外のAB/HR(ホームラン1本に必要な打数)は以下に推移した。特に2022年は得点圏の方がホームランの確率が大幅に高い。 2021年:得点圏10.2、それ以外12.1 2022年:得点圏8.5、それ以外22.0 2023年:得点圏14.4、それ以外10.7 今季(現地時間4月28日まで)の得点圏以外でのAB/HRは12.6と、過去3年の数字と比べても遜色ない。私は、得点圏でもホームランが出るのは時間の問題と思う。 私の記憶に一番強く残る、得点圏での勝負強さを示した大谷選手のホームランは、ロサンゼルス・エンゼルス時代の2022年8月31日、ニューヨーク・ヤンキースのエース、ゲリット・コール投手から打った逆転の3ランホームランだ。 6回裏1死1、2塁、2点ビハインドでコールからバックスクリーンに叩き込み、エンゼルスを3-2の勝利に導いたあの一発だ。現在の状態からみて、こうしたホームランも今季のうちに出ない方が不思議である。 まとめると、じっくりボールを見極め四球でつないでいく打撃ができれば、大谷選手自身のスケールアップとともに得点圏での成績も上昇していくはずだ。 ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン選手に囲まれた現在の打順はこの打撃をするのに最高の位置にある。それが結果的にドジャースをポストシーズン進出に近づけるだろう。
ベースボールチャンネル編集部