時代が求める「右脳派リーダー」に必須の4つのスキル
世界は、利益重視型の戦略から、ヒューマンエクスペリエンスと創造性が影響力を持つ戦略へと移行しつつある。そんななかで存在感を増してきたのが、伝統的な経営管理では影の存在だった、右脳派のリーダーシップだ。創造性や共感、直観を中心にアプローチする、新たなビジョナリー型マネジャーである右脳派リーダーが次々と誕生している。 デジタル改革が進み、社会が変化し、世界的危機が起きるなかで、リーダーは自身のチームを導いていかなければならない。こうした時代をうまく切り抜けていくためには、リーダーシップそのものを進化させ、「権威と積極的な自己主張」という従来型の枠組み以上のものを包含していく必要がある。とはいえ、今日のビジネス環境における右脳派リーダーとは、具体的にどのような人を指すのだろうか。 右脳派リーダーは、個々のチームメンバーについて、それぞれの現状を把握し、チームに貢献する必要不可欠な存在として扱う必要がある。こうした管理スタイルは、左脳的思考で植え付けられたロジックや構造を否定するものではない。むしろ、斬新な方法で課題に立ち向かうために欠かせない包括的な思考と創造性をもって、従来型マネジメントを豊かにするものだ。 さらに右脳派リーダーは、意思決定の際に、頭脳だけでなく、心をも生かす。あらゆるビジネス指標の背景には、ストーリーをもつ人間が存在していることを理解しているのだ。 ■右脳派リーダーに必須のスキル 右脳派リーダーになるためには、さまざまな独特のスキルに磨きをかけなければならない。では、右脳派リーダーを見分けるポイントを紹介しよう。
右脳派リーダーに必須のスキル
・チームの創造力を育む:創造性にあふれる環境の育成を後押しし、リーダーとして手本を示す。右脳派リーダーは、従来のやり方では対応しきれない複雑な問題に立ち向かうための、独創的な解決策を見いだす力に長けたイノベーターだ ・共感力の高いリーダーシップ:チームメンバーの「心のウェルビーイング」を理解して配慮する。また、異なった視点や物の見方が重要であることをわかっている ・優れた直観力:言外の意味を読み取る力を養っており、ロジックと直観にもとづいて決断する ・適応力と柔軟性:必要とあらば、最終目標を見失わずに戦略や組織を方向転換させる覚悟ができている ■右脳派リーダーの素質を身に着けるには ・リーダーシップを絶えず磨く:ワークショップやリーダーシップ研修などに参加して、常に学び続け、創造性を養う ・幅広い経験を積むよう努める:自分のコンフォートゾーンから抜け出し、さまざまな状況に身を置いたり、多様な人々と接したりする。そうすれば視野が広がるし、チームメンバーと絆を築き、彼らを鼓舞する力が高まるだろう ・革新的な思考実験を頻繁に行う:創造的な思考実験のための時間を確保する。型にはまらない方法で問題解決に挑戦できるような活動に取り組む ■履歴書で右脳派リーダーをアピールできる表現 求職時には、応募する仕事に応じて履歴書を手直しすることが重要だ。右脳派リーダーを求める採用担当者が探しているのは、次のような表現や言葉だ。 ・革新的なやり方で問題を解決できる:新鮮な視点に立って課題に向き合い、一見しただけではわからないような、斬新で現実的な解決策を見つけられる ・創造的な戦略を立案できる:創造的思考を取り入れた先進的戦略を立案し、長期目標を達成できる ・直観的な意思決定ができる:不確実あるいは複雑な状況でも決断を下すため、直観と論理的分析力を生かすことの重要さに焦点を当てる ・ビジョナリー思考:ビジョナリー思考を備えたリーダーは、先を見据える力があり、長期的な成功に向けて今後の可能性を思い描き、組織を導くことができる ・変化への適応力:この素質は、現代のようなダイナミックなビジネス環境において不可欠だ。常に柔軟性を失わず、変化が生じてもそれに応じて戦略や手段を調整できるということだ ・協調的なチームワークを促す:効果的なチームワークを推進し、多様な考えを奨励し、メンバーそれぞれの強みを生かして共通の目標を達成することを強調する ・EQが高い:リーダーとしてのカギを握る「こころの知能指数(EQ)」というスキルには、人の感情を認識して理解し、それにうまく対処する力と、相手の身になってやりとりを交わす力が含まれている ・デザイン思考力がある:この問題解決アプローチは、ユーザーのニーズを理解し、技術的に実現可能で、かつ市場で存続できる解決策を生み出すことに焦点を当てている ・人の心を動かし、やる気を起こさせる:チームメンバーを鼓舞し、やる気を起こさせ、優れた力を発揮できるよう後押しし、障害を乗り越えて最高の結果を出させる ■履歴書を書く上でのヒント ・自分のストーリーを語ろう:履歴書では、右脳的視点に立って、自分のキャリアについての物語を語ろう。創造性、共感力、あるいは直観的なアプローチが求められた過去の経験を前面に押し出そう ・結果とインパクトに重点を置く:自らのリーダーシップスタイルでどのような成果を上げたのか、具体的な内容を盛り込もう。新たな戦略を取り入れた結果、チームの士気が上がったり、相乗効果が高まったりしたことがあれば、明確に伝えよう ・学ぶ姿勢と適応力を示す:予期せぬ事態が起きたときに戦略を転換し、その転換が奏功したエピソードを盛り込もう。そうすれば、迅速に決断を下せる力があり、プレッシャーがあっても創造力を失わないことを示せる 右脳派リーダーシップは、従来型のリーダーシップ手法にとって代わるものではなく、それを拡張するものだ。革新的で人間中心のアプローチによって、従来型のリーダーシップ手法を補強するアプローチと言える。
Cheryl Robinson