伝説の箱根Vメンバーが女子チーム監督で故郷凱旋…全日本大学女子駅伝27日号砲
◆帝京科学大 初出場 楽しみな新興校が、恩師の故郷で初陣を飾る。帝京科学大は5日の関東大学女子駅伝でシード校を除く5番手となり、初出場権を獲得。急成長したチームを引っ張る山口あずさ主将(4年)は「初出場を目標にしていたので、すごくうれしい」と目を輝かせた。 抜群の実績を誇る指揮官が導いた。就任2年目の清野純一監督(40)は、順大4年時の07年に「初代・山の神」こと今井正人・順大コーチ(40)、長門俊介・順大駅伝監督(40)らとタスキをつなぎ、箱根駅伝で優勝。指導者として宮城・仙台育英高の監督も務めた。帝京科学大は18年創部も全国大会にはほど遠く、清野監督に白羽の矢が立った。 東京・足立区内に400メートルトラック、選手寮を完備。ロード走などができる荒川河川敷も近く、強くなる環境が整う。就任前の22年関東大学女子駅伝では全国切符まで6分53秒差もあった。清野監督は「はじめに自分たちで目標をつくってごらん、と言いました。『やっぱり全日本に出たい』と」。その思いに指揮官は強度を上げた練習などで応えた。 「技術力は実業団。チームを一つにする部分は、自分の競技経験や高校生を指導したことが生きています」と全ての経験をチームに伝授した。山口主将は「競技に対しての考え方が大きく変わりました。この練習をすれば、このくらいの記録が出せると毎回指標をつくってくださる」と感謝。個々の記録は着実に伸び、昨年の関東大学女子駅伝では全国まで3分44秒差まで縮めた。 今年の「関東―」では指揮官が勧誘した1年生が躍動。1区2位の山田依茉と3区8位の粕谷雫らが流れをつくり、上級生が堅実につないだ。初の全国行きを決め、清野監督は「選手たちは皆、本当に一生懸命頑張ってくれた」と10人の部員をたたえた。「全員で最後まで頑張る駅伝がしたい」と山口主将。杜(もり)の都での夢舞台に新風を吹かせる。(手島 莉子) ◆清野 純一(せいの・じゅんいち)1984年10月11日、宮城・蔵王町生まれ。40歳。仙台育英高では3年連続で全国高校駅伝に出場して2年時に優勝。2003年に順大入学。箱根駅伝は3年連続で走り、4年時は6区8位=写真=で総合優勝。07年の卒業後、仙台育英のコーチ。08年に監督へ昇格し、12年まで務めた。14~18年まで積水化学女子チームコーチ。18年からセキスイハイムの営業マンとして社業に尽力し、23年3月に帝京科学大監督に就任。
報知新聞社