[三山ひろしさん]なぜ、紅白歌合戦でけん玉をするようになったのか…上達の道は「人生」
ファンクラブのイベントで始めた
――紅白歌合戦では毎回、けん玉が話題です。どうしてけん玉をすることになったのですか。 「三山ひろしはけん玉が得意らしい」と知ったNHKさんから、「紅白で披露してみませんか」とオファーがあったんです。おもしろそうだな、と承諾しました。最初の年は自分が技を決めるだけだったんですが、2年目からは世界記録に挑戦する企画になり、毎年続いています。 ――もともとけん玉が得意だったのですね。 かれこれ10年以上前、ファンクラブのイベントでファンの皆さんと一緒に楽しもうと始めたのがきっかけで、趣味になりました。深いんですよ、けん玉って。僕はコツコツ積み重ねてちょっとずつ登っていくのが好きなので、そんな性格に合ったんでしょう。こうすればこの技はうまくいくという法則を探すのが、人生の幸せを追求する道と似ています。 人生って、壁にぶつかりもがき苦しんでも、進んでいかないといけない。けん玉の技も同じで、ひとつつまずいたら、成功率を高めるために地道な積み重ねを続けていくしかない。突き詰めていくほど新しい道も開けます。 ――けん玉には検定制度があるそうですね。 僕は今四段で、五段の昇段試験にチャレンジし続けていますが、これが高い壁なんです。競技に臨む姿勢や精神状態も技の精度に関わってきて、なかなか合格できません。最初は面白半分でやっていましたが、最近はそれではできなくなってきました。難しくなればなるほど、真剣に取り組まないといけないですからね。 ――忙しい中でけん玉も上達されているのがすごいです。三山さんは多趣味だそうですね。 クワガタの飼育や、プラモデル作り、最近は3Dプリンターを買ったので、何を作ろうかと考えています。僕はドローンにも興味があって、自分のミュージックビデオにはドローンで撮影した映像を使ったりもしています。このドローンを作っている時に……。 ――ちょっと待ってください。ドローンを作る? 趣味を超えています……。 いやいや、趣味ですよ。今度はパーツに何をつけようかとか、モーターはどれがいいかとか、そういうことを考えるのが楽しみなんです。そうやって、歌から少し離れる時間を大事にしています。歌のことばかり考えていると煮詰まってしまうので、考えるのをやめて違うことをやるんです。 ――健康を維持するためにも、趣味が必要ということですね。 シフトチェンジじゃないですが、趣味のことをする時間は趣味のことを100%でやりたいと思っています。仕事を忘れて無心になれるのがいいんです。
みやま・ひろし
1980年生まれ、高知県南国市出身。作曲家の中村典正さんのもとで修業し、2009年に「人恋酒場」でデビュー。デビュー曲は10万枚を売り上げ、日本レコード協会のゴールドディスクに認定される。昭和の流行歌を歌ったアルバム「歌い継ぐ!昭和の流行歌」シリーズがヒット。15年に発売した「お岩木山」は15万枚を売り上げ、同年のNHK紅白歌合戦に初出場した。特技は、着物の着付け、竹とんぼ製作、裁縫、けん玉(四段)。