「これなら完結させられる」と実感! 連載再開から2年『ベルセルク』監修・森恒二先生インタビュー【前編】
実際に剣を持って「動いてみる」ことが大事
――「妖精島崩壊」が収録された『ベルセルク』42巻のおまけマンガでは、三浦先生が森先生にストーリーの構想を語る際に、真剣に寸劇を行っていたそうですね。 森 やっぱり癖なんですよ。ずっと三浦君と、そうやって語り合っていましたから。特に殺陣(たて)に関しては、三浦君と僕の持論として「一回自分でやってみたほうがいい」という考えがあるんです。その方がリアルに描きやすいと思います。 僕が最初に連載した『ホーリーランド』で、三浦君とふたりで「相手がこう動くから主人公はこう動く」と、動きを実践してイメージしていましたね。『ベルセルク』の戦闘シーンも同様です。三浦君の家に模造刀があるので、「スラリ」と抜いて「じゃあ森ちゃんやるか」と(笑)。ガッツの剣(ドラゴンころし)はとても重いので、重力になるべく逆らわないような動きを再現するために、実際に振ってみることが大事でした。 そういえば、三浦君は剣が倒れるシーンにおける「倒れる角度」にもこだわっていました。そうした細かい描写にも意味があることが多く、三浦君がどこに伏線を張っていたのか分からないこともあるので、今は細部まで慎重にチェックしなければならず、苦労が多いです。 * * * 三浦先生が遺してきたものを慎重に、大切に引き継ぎながら制作が続けられている『ベルセルク』には、森先生自身も予想していなかった「謎」が隠されているといいます。インタビュー後編では、三浦先生が『ベルセルク』の執筆で直面した路線変更や、森先生と三浦先生の「約束」について語っていただきます。
マグミクス編集部